第295話「検討したまえ」
「いいえ」
「私もしてないです」
二人は首を横に振る。
「では、所属することを検討したまえ」
「チュース先生。確か、協会に所属する時に試験を受けて、合格する必要があるのよね?」
「個人申請の場合はな。この研究内容だが、私が魔術師個人として評価するのであれば、ここ十年で一番興味深い内容である。既存の研究は魔術式に指向性を加え制御を試みるといったものである。これはまったく別視点からの挑戦であり、何より課題はまだ多いが、声を届けることには成功している。非常に価値があるもので、これは功績と称して差支えない。実績があるとみなされ場合など試験は免除されるのだ。この研究内容を発表し、後々のことを考えると所属しないと面倒事が多いと予測される。実際過去に学生の発表内容が優れており、協会に申請し所属したケースは多々ある。問題なければ所属して欲しいと思う。なので、保護者に事前に連絡し、是非を決めてくれ」
「チュース先生、王族って所属できるのかしら?」
「協会員の条件に、身分の制限はないので可能だ。まぁ、通例として身分が高ければ高いほど、審査が慎重で、厳しくなるだろう」
「どうしてです?」
素性がごまかしようがないのに、何故慎重にする必要があるのか。
「サラきっとあれよ。所属した後に実は試験の出来じゃなくて、忖度、脅迫して無理やり合格したんだろう。っていちゃもんを言われないように、対策としてだと思うわ」
権力者同士の政争は実に恐ろしく、醜いのだろうか。
「あれ?フィーナさんと、私二人ってことは……サラちゃんは申請されないんですか?」
「あ」
「……」
チュースは何も語らない。
「えっと、エスちゃん。……実は私って既に協会に所属してたり……しまして」
「なるほど。……ということは、試験を受け合格されたのですか?」
「はい。回復魔術をやりましたね」
「サラなら余裕でしょうね」
「世間話は寮に戻ってするように。サラティス君、一点だけいいかね?」
「はい、何でしょう?」
「現段階では雷球で包んでいるようだが、拡散魔術の魔術式自体を弄って魔術式を組み上げる想定かね?」
「……悩みどころなんですよ」
「それは技術的な視点からかね?」
「いえ。組み込むだけなら、そこまで大変ではないと思うんですがこれ、魔術具にした方が便利なんじゃないかなーって」
「魔術具だと?」




