第290話「ビルビーの嚙みつき」
「さ、サラティス様?こ、これは一体何でしょうかー」
「ま、マリー落ちついてください。大丈夫ですから」
雷球を操作して隣の部屋に持っていこうとしたのだが、廊下を掃除してたマリーに雷球が向かって行ってしまうのだ。
マリーは訳も分からないので逃げ惑う。
それに追従するかのように、ふわふわと雷球が後を追う。
仕方ないので雷球を消した。
『聞こえる?』
「きゃー」
マリーは転ぶ。
突如甲高い声が目の前から聞こえた。
「どうしたの?」
「だ、大丈夫ですか?」
騒ぎを聞きつけ部屋で待っていた二人も出てきた。
「マリー大丈夫ですか?」
マリーの膝に回復魔術を使う。
「はい。今のは一体何でしょうか?」
「雷魔術ですよ。操作していたので勝手にマリーの方に行くわけがないんですけどね。ちょっと試してもいいですか?」
「痛くないなら大丈夫です」
サラティスは水球を出す。
「……動きませんね」
そして次は雷球を出す。
「さ、サラティス様?」
「落ち着いてマリー。当たる前に消すので」
雷球はふわふわとマリーの方に少しずつ進む。
「サラ、一体どういうことなの?」
「さぁ?マリー、今私は水球と雷球を出しました。どちらもただ出しただけで、マリーに向かうようにしたりしてません。雷球だけ勝手に動くってことは魔術じゃなくてマリーの体質とか何かだと思うんですが、心当たりありますか?」
「こ、ここ心当たりですか?」
マリーはあわあわしながら考える。
「も、もしかしたら私はビルビーの嚙みつき体質なのでそ、それでしょうか?」
「なるほどー」
「待って、ビルビーの嚙みつきて何かしら?」
「へ?」
フィーナ以外きょとんとする。
「え?つまり全員知ってるってこと?」
「さすがは王女様ですね。冬の時期や乾燥している時に、金属を触ったら手がバチっとなることです」
「ビルビーとは大人の小指くらいの小さな魔獣で、木や草むらに巣を作っているのですが。ビルビーに噛まれるとちくっとするんですよ。その痛みと同じくらいなのでそう呼ばれるようになったらしいです。うちのお店でもビルビー駆除グッズたくさん売ってます」
「二人ともありがとう。でも、金属を触ったらどうして痛くなるの?私はなったことないけど」
「フィーナ、実は人間の身体は電気が溜まるようになってるのです」
「電気って雷魔術の元のことよね?」
「はい。魔術具や自然科学の分野でそのうち習うと思います。電気があってその力を利用しているのが雷魔術ですね。ちょっと待っててください」
サラティスは三人に空き部屋に待機してと頼み、自身は急いで自室に戻った。




