第289話「かよわいのです」
「もちろん、疲れますよ。きっちりと湯舟に浸かり、たっぷりと睡眠時間を取って、翌日に疲れを持ち越さないようにしてます。それに父は領主ですから、疲れていてもそれを外に見せることはしないのかなと」
「お父様もお兄様も規則正しい生活されてますからね」
「ふふ、サラティスも見習ったらどう?」
「お母様、私も学園では規則正しい生活をしてますよ?」
「でもお家だと夜更かしてるでしょ?昨日もハルティックに注意されてたでしょ?」
「なるほどね。だからサラは朝遅いのね。学園でも何も予定のない休みの日とか、昼頃起きてきたりするじゃない」
「ちょ、フィーナ」
「でしょうね。無理はしちゃだめよ」
「気を付けます」
「でもそしたらエスちゃんもよね。夜遅くまで勉強したりしてる時あるでしょ?」
「へ?」
「あ、そうですよ。エスちゃんもです」
「ご、ごめんなさい。眠りの妨げになってしまいましたか?」
「それは大丈夫よ。でもエスちゃんはサラと違って普通の身体なんだから休ませるのも大切よ」
「ちょ、別に私はお父様達とは違いますからね?か弱い身体ですからね?」
二人は信じられない。
もちろん男性二人に比べればそうかもしれないが、あの動きを見た後では。
「サラティス、か弱いなら訓練しないか?」
「遠慮しますよ。私は研究があるので。それにお兄様、今日は森に行くのでは?」
「あ、そうだった」
「ジェリド、気を付けなさいね」
「はい。もちろんです」
ジェリドも慌てて席を立つ。
「森ってリベール大森林でしょうか?」
「エステリアちゃん、違うわ。その手前の森ね。緊急事態でもない限り、リベール大森林には立ち入らないわ。あ、お二人とも決してリベール大森林も、手前の森も行かないようにお願いしますね。騎士達が定期的に魔獣を駆除してますが、自然が相手ですからね。魔獣がいきなり出てくる恐れはあるから。特にサラティス、自分がいるから大丈夫って連れてっちゃだめだからね」
「も、もちろんそんなことしないですよ」
さすがに王女を無断で連れ出せば大問題になることくらい理解している。
「それと実験に材料が必要になっても自分で採りに行ってはだめよ?庭くらいならいいけど、家の外には出ないこと。ハルティックにでも伝えて買ってきて貰うのよ。いいわね」
「分かりました」
そして午後になり実験が始まった。
水魔術で上手くいきそうにないので、次は風魔術にすることにした。
風の壁を作る要領で声を包んだり、風の渦に乗せて運んだりと水より種類豊富に試したが、風魔術も水球と似た結果になった。
サラティスとしては何となく予想はしていた。
サラティスの中で本命は雷魔術だったのでむしろ、万が一でも成功があれば程度であった。
そして本命の雷魔術での実験が始まった。
「『聞こえる?』」
フィーナが拡散魔術を発動する。
サラティスが雷で覆う。
予想もしない現象が起きた。




