第288話「体力おばけ」
「一体何でそんなことを?」
サラティスは軽く説明した。
王国で名のある強者の話になり、セクドが狂喰と戦ったり、エステリアから聞いたことなど。
「まず誤解というか、それは本当に噂で殺してなんかいないからね」
「なるほど」
「もしかしたら、貴族や大人の事情でそういった処置があるかもしれない。でも、あの時はそんな事情もないし、事実追い返しただけだよ」
「セクド様、狂喰は強敵でしたか?」
「……まぁ追い返すことができたからね。でもそれなりに強かったよ」
「じゃ、どうしてセクドさんと戦った直後に消息が途絶えたのかしら?もっと悪いことして隠れてるのかしらね?」
「いや、彼はそんな悪い人物ではないから、騎士に捕縛されるようなことはしてないんじゃないかな」
「セクド様、狂喰はどのような人物だったのですか?」
「うーん。あくまであの場で剣を交え、少しだけ会話しただけだから、詳しく知ってるわけじゃないよ。でも感じたことは悪そうだけど悪い奴じゃないってことくらいかな」
「でもセクドさん、狂喰は王国から手配されていたのよね?」
「フィーナさん、実は国やどこかの領に手配された訳じゃないんだ。だから厳密には犯罪者ではないんだよ」
「てことはギルドで個人が懸賞懸けただけですか?」
「サラティスよく知ってるね。邪魔された誰かがやったらしい」
「セクド様、狂喰によって死者が出たとありますが、どうして指名手配までいかなかったのでしょうか?」
「さっき言ったけどそこまで詳しく知ってるわけじゃないから一部推測が入るのは理解して欲しい。殺しはあったみたいだけど、決して彼から殺しにいった訳ではないようだよ」
獲物の横取りはマナー違反ではあるが、国としての法律を犯しているかというとそうではない。
一部の領では領令により明確に罪になるのだが、どうやらそこではやっていないようだった。
「とりあえず、変わってるけど悪い奴じゃないって感じかな。ごめん、ちょっと仕事があって失礼するよ」
セクドは屋敷を出る用事があるため席を立った。
「アレシアさん?」
「何かしら?」
「ふと思ったのだけれど、リステッド家の方は体力は無尽蔵なのかしら?」
「あらら。そんなことはないわよ」
「朝あれだけ訓練してるじゃないですか。それでセクドさんはお仕事に、ジェリドさんも特訓や騎士のお手伝い。で夕食の時全然疲れている様子がないもの」
「どうジェリド?」




