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第194話「いらない」

「分かったよ。で、もう一件は何だい?」


 聞くのがとてつもなく恐ろしい。

 良い意味でも悪い意味でも自分の娘は規格外すぎる。


「クスナ領にてルーリエ病の治療薬と改善方法を提供しました」

「ルーリエ病……?」

「確か、漁師が患う不治の病だったかしら?」

「そうですね」

「あ、漁師の血反吐か。ってあれのかい?」


 セクドは思わず立ち上がる。

 そして暫く天井を眺め深呼吸をする。


「ごめんね、続けていいよ」


 セクドはソファーに座り直す。

 忘れたがどこかの本で読んだことがあったことを思い出して、試してみたら実際に治ったとクスナ家にした説明と同じことを伝えた。


「こちらがクスナ家から頂いたものです」


 件の免状を渡す。


「サラティスはそれでいいの?確かに影響を考えると名前を秘匿にしたことは安全かもしれないわ。でも、サラティスがしたことは今ままでの中でも群を抜いているわ。褒賞や爵位、領地だって頂けるかもしれない程の偉業なのよ?」


 サラティスはリステッドの領主になることだけはできない。

 だが別の地で領主となること可能である。

 親としては寂しいが子供が爵位を授かり領主になることは誇らしいことだ。


「はい。クスナ家の方々からも、いろいろと言われました。贅沢かもしれませんが、私はお父様とお母様、お兄様、ロザリア、屋敷の皆、そしてこのリステッドが大好きですから、新しい名も領地も欲しくありません」


 二人はサラティスを思いきり抱きしめる。

 万感の想いが伝わるほどに。

 サラティスは順当に行けばケイトと結婚するだろう。

 そして嫁に行かず婿を取る。

 リステッドの地で暮らすことができるのだ。

 それに家族仲もこの大陸一良いと思うし、叛意など一切ない。

 なので円満に領内に屋敷を構えて暮らすことができる。

 それを捨ててまで領主になること、比べるべくもない。

 検討することすら不要な程に前者が大切だ。


「サラティスの気持ちは十分分かった。一つだけ、万が一漏れた場合はどうするか考えているのかい?」


 サラティスは王にだけは伝わっているであろうことを説明した。


「なるほど、それならクスナ家も不名誉と言われずに済むね」

「ニュールについてやけに早く話が進んだものと思ったけど、クスナ家の方々が協力してくれているのなら納得できるわね」

「そうだね。公爵家か……王族であるフィーナ様。どんどんお偉い方々と縁ができるみたいだね」


 時代の寵児とはまさにサラティスのことであろう。

 暫く二人はサラティスから二人を聞いた。

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