表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/252

第191話「怒鳴られましたが」

「子供が来るところじゃない、帰れ!」


 第一声の怒鳴り声。

 農場の中に入って行こうとする老人に声を掛けた。

 すると大声で帰れと言われたのであった。

 サラティスは怒鳴られたことには一切気にしていない。

 職人気質は相手の身分で態度を変えたりしないからだ。

 それにサラティスのことをよく見て言った訳ではないので、恐らくただの子供だと思ったのだろう。

 すると、農場の入口に小走りで作業着の男性がやってきた。


「サラティス様」


 男性は汚れることを厭わずに土の地面の上で傅く。


「えっと、どちら様ですか?」


 男性はサラティスのことを知っているようだが、サラティスは覚えがない。


「私はリステッドの者です」

「あ、技術提供ですか?」

「はい。こちらに教える為に暫く滞在してます」

「立派ですね。教えるだけじゃなく、何か教われることがあれば是非戻って活かしてくださいね」

「勿論でございます。サラティス様はどのような用事でこちらに?」

「シェリー様にお茶会にお誘い頂いたのでザバラットに行ってました。終わったので周辺を回っているのです」

「なるほど、それはそれは」


 男性は老人に果敢に舌戦をしかける。


「おい、じいさん。このお方はサラティス・ルワーナ・リステッド様だぞ?何だその態度は」

「あ?リステッドの方か。だったら余計にだろ。貴族の子供様が魔獣の近くに寄るのは危ねぇだろ」

「あのな、ワイルボロルの家畜化に関してお考えになれらたのはサラティス様だぞ」

「んだと?」

「視察は受け入れる契約だから、断れないぞ」

「……はぁ、そいつは失礼しました」


 老人は会釈程度に頭を下げる。


「じゃお前が案内しろよ」


 そう言い捨て老人は行ってしまった。


「申し訳ありません。少しばかり頑固なので……悪いじいさんではないのですよ」

「でしょうね。別に私は気にしてませんよ」


 男性はイスタブという名だそうだ。

 リステッドでピーギー農家をしていたが、生活が苦しくて廃業を考えていた。

 その時ワイルボロルを家畜化するという話が出た。

 イスタブの家は代々農家であり、他の生き方をするには不安であった。

 なので、せっかくダメになるなら最後に挑戦をとワイルボロル農家に転向した。

 結果上手くいき、リステッド家には感謝しきれない。

 ワイルボロルの畜舎に案内された。

 一見するとリステッドで飼育されているワイルボロルと何ら変わりはないようには見える。


「気候や地形等でワイルボロルに異なる点は生じたりしてますか?」

「これといった変化はないですね。ただ気になるのは、血入れがリステッドと比べて鈍いところですかね」


 血縁同士で子供を作ると人間も魔獣も良くないとされている。

 病気、短命になりがちになるので人間に関してはかなり特殊な例外があるものの、基本的には血縁での婚姻は禁止されている。

 家畜も同じで適度に別の個体の血を混ぜる必要がある。


「リステッドは野生のワイルボロルの数が多いので簡単に捕まりますが、こっちは少ないのでどうしても頻度が少ないんですよ」

「あーなるほど」

「まぁ、魔獣の被害が少ないのは良いことなのであれですが」

「そうですね、平和が良いに決まってますもんね」

「はい。なので農場単位で定期的に混ぜたり、交換してを考えてるみたいですね」

「今のところ病気になりそうな兆候など変化はあります?」

「私が知る限りはないですね。どちらかというと、農家の方に問題がありますね」


 魔獣に慣れていない農家が多いようだ。

 もちろん、モルやピーギーも魔獣だが家畜化され長い歴史がある。

 だがワイルボロルは野生を家畜化する工程がある。

 それに、モルやピーギーに比べると力も強い。

 農家の怪我や脱走など頻繁に起こっているようだ。


「そこは慣れてもらうしかないですね」

「はい、リステッドでは気にもしなかったことです。最初はふざけておおげさにしているのかと思ったのですが、違いました」


 これに関してはリステッド領民が逞しいに尽きるであろう。


「コココココ農場で餌にオーヌを混ぜたりしているというのを知りました。ワイルボロルにもしてたりします?」

「その話はちらほら出ていますが、まだですね」


 現段階ではまだ、基本となるワイルボロル味の模索中の段階だからである。


「サラティス様、そろそろ時間になりますよ」

「あ、もうですか。イスタブさん、ありがとうございました」


 イスタブはまた傅こうとしたので、慌てて止め別れた。

 サラティス達は予定いっぱいまで農場や飲食店を巡った。

 そして、とうとうリステッドに帰るために移動を開始した。


作品へのブックマーク、評価等誠にありがとうございます。

宜しければまだしてないという方はブクマ、評価是非お願い致します。


お陰様で投稿してから六か月経過しました。


当初から書き溜めてないですが、なんとか毎日投稿できています。

一応不定期投稿の体は変わっていません。


これからも投稿続けていくので、何卒よろしくお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ