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第188話「コココココ……」

「はいこちらですね」


 コココココが食べている傍に近づく。

 基本的にコココココはフダワやモグトなど穀物や野菜などを食べる。

 その餌の中に茶色に色を変えつつある葉っぱが混じっていた。


「ここの棟で与える餌は、オーヌを混ぜてます」


 オーヌとは植物である。

 深い綺麗な夜空を思わせる青い青い色をし、人間の女性が履く様なスカートに似た形の花を咲かせる。

 生の葉はお茶に使われる。ほんのりと甘く、すーっと鼻を抜ける爽快さを感じさせる。

 葉を乾燥させると肉など臭み消し、味付けに使える香辛料や、薬の原料になったりと幅広く使われる植物である。

 小さな植木鉢で育てることも可能なくらい、育成の難易度が簡単なので人気も高い。


「オーヌ……まさか、食べたコココココのお肉の味が変わるのですか?」

「はい、まさにその通りです。よくお分かりになりましたね」


 まさにワイルボロルを食用にできるようにしたのがこの方法である。

 餌を変えることで肉質や、味に変化が起こることは容易に想像ができた。


「もしかして卵の味にも影響がありますか?」

「今の所卵の方に味の変化は確認できていないですね。ただ匂いが少し変化する程度です」

「他にはどんなの餌としてあげているんですか?」

「大変申し訳ありません、それは秘密でして……」

「あーごめんなさい、今のは無かったことでお願いします」


 コタルダはほっとした顔をし、力強く頷いた。


「あ」


 サラティスはここで気付く。


「オーヌは教えて貰いましたが大丈夫なのですか?」


 貴族だから無理して教えてくれたは心苦しい。


「それは大丈夫です。うちのブランドとして大々的に宣伝しているので」


 それなら安心だ。


「因みに真似したら内心、あの貴族!ってなりますか?」

「と、とんでもありません、そのようなことはありません。うちの周りの農家も真似してるので。それに、真似されても比率が違えば大分違いが出るのでうちのコココココは負けませんから」

「なるほど。あ、邪魔にならなければですがお掃除してる所とか、他の作業している所を遠くからでいいので、見せてもらえますか?」

「もうじき第三棟が掃除なので構いませんが、よろしいのですか?」

「はい、承知の上です」


 今いる建物を出て、外から掃除が行われる第三棟に入った。

 中には意外な事に従業員が一人しかいなかった。

 コタルダが従業員に耳打ちした。

 従業員は慌てて背筋を伸ばした。

 明らかに緊張している様子だ。

 サラティス達は入口の一段高くなっている所からその様子を観察する。

 ここであれば足元が濡れることはないそうだ。


「あ、まさかあれは」


 サラティスの視界には通路の端にある機械が見えた。

 そしてそれは昔見たことのあるものを巨大にしたような物であることに気付いた。

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