第175話「マーナ領」
翌日、クスナを出た。
入ってきたのと同じルーダー領を通過。
ルーダー領は東にクスナ領、北がレクスライ領。
南東がベスタルナリア領、南西がタイメイ領。
西南がモスタニア領、西北がワワルルワワ領と領地が数多の領と接している。
そのまままっすぐ西に向かいワワルルワワ領を通過し、同じくまっすぐと西に向かいマーナ領に辿り着いた。
マーナ領は服の生産が特産である。
サラティスの服もどれかしらは、ここで作られたものを持っている。
大衆向けの服、貴族向けのフルオーダーメイドを取り扱う店どちらも豊富だ。
サラティスは服にあまり関心が高くない。
個人的な意見で言うと服は機能的であれば良いと思っている。
だが、貴族として着飾る重要性は習っているので装飾が華美な服が大切なものだと知っている。
何故この領を訪れたかというと八割はアレシアなどの希望である。
せっかくなので、服をたくさん見てらっしゃいな。
気に入った服を買ってきなさいと言われたからだ。
さんざんおすすめされたのもあり、服は人間にとって大事な産業であり、文化である。
服を作る技術など何か参考にできるものは無いかは興味があるので訪れるのを決めた。
「ダヴァン様、明日は一日ご自由になさってください」
宿を取り、ダヴァンに告げる。
「ああ、そうさせてもらうぜ」
「サラティス様は駄目です。一着服を作るための採寸がありますので」
「えー」
「アレシア様からの厳命ですので」
これから学園に通うことになる。
もしもに備えて一着は持っておいた方がいい。
もちろん、既にドレスなど持っている。
だが、重要なのは新しいことだそうだ。
社交的の場において、新しいは武器である。
そして、貴族の服作りは時間がかかる。
採寸だけでも一日掛かりである。
その場に男性であるダヴァンが傍にいるのは宜しくない。
なのでその間ダヴァンは好きにしていろということだ。
翌日、サラティスの苦難が始まった。
貴族向けの店に向かう。
店の入口に立つと自然とドアが開いた。
従業員がドア付近に控えており、来るのが分かったのでドアを開けたのだ。
ハルティックは従業員に一枚の封筒を渡す。
「……サラティス様ですね。お待ちしておりました」
「予定より大幅に遅れて申し訳ありません」
「いえ、事前に日程のずれを伺っておりますので問題ありません」
「ちょっとハルティックどういうことですか?」
「リステッドを出立する前に手紙を出してました」
「お母様ですか?」
サラティスは当然店の知識は乏しい。
「シェリー様のご紹介です」
「あーなるほど」