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第174話「名残惜しくも」

 勉強会は終わり、サラティスはすぐさま個室に籠った。

 患者の容態が悪化でもしない限り、サラティスはお役御免である。

 夕食を食べ終えまったりとした時間。

 歓談部屋で今日の事を二人に伝えた。


「これで後は結果次第か。治ることが証明できて契約を締結したら、直ぐ出るつもりで?」

「はい。名残惜しいですが出ましょう。予定より長いですから」

「そうだな。というかマーナとナンタルダートの日程を若干削らないといけないな」

「サラティス様の治験の協力の終わりがいつになるか次第ですが、ある程度組み直しているので、後ほどお二人にも共有しますね」

「ありがとございます、ハルティック」


 それから無事に二週間経過した。

 その間毎日、サラティスの元には医者が記録した報告書が届いた。

 子供だからと加減された物ではなく、正式な書類でだ。

 当然知識が無ければ理解できない代物だ。

 だが、あの手術を見た二人は理解できていることを思い知った。

 三日程屋敷に籠りそれ以降、 日中は街中を散策した。

 そして公爵家の偉大さを実感した。

 どこの店でも最優先で入れて貰えた。

 ニュールについても大成果があった。

 リステッドではニュールが珍しい事。ニュールを使ってお料理を作ってみたいから、自領で作れるようになりたいと伝えた所、ノスタッチが商会や職人に取次いでくれた。

 先方も貴族であり、クスナ家の賓客であるサラティス達を優遇してくれ、協力して貰える所まで漕ぎついた。

 そして、サラティスはニュールを掛け合わせたい食材や、料理など思い浮かべる作業に入った。

 今から最短で動いたとしても、ニュールが作れるようになるのは数年かかるだろう。

 ニュールが完成しても、肝心のサラティスは王都にいる。

 やり取りに時間を要するため、今のうち案を伝えておこうと思いメモを書く。

 暫くし、サラティスはトクラスタ招かれ、執務室の椅子に座っていた。


「症状が軽度の二名は完治、中度も症状の進行が止まり後一、二週間治療を続ければ完治する予想。重度の患者は肺など器官の症状の進行の停止を確認。緩やかだが改善の兆しがあり、当面治療を続ければ完治までいくかもしれないとのことだ」

「よかったです」

「改めて、感謝する」


 トクラスタは椅子から立ち上がり、深々と頭を下げる。


「それと治療薬について効果が確認されたので、正式に契約を結ぶ。一応改めて聞くが、あの要望だけでいいのか?追加などあれば、できる限り飲むが」

「お気遣いありがとうございます。ですが、あれで十分です。それ以外は望みません」

「……承知した」


 契約はあっさりと終わった。


「因みにこれからの予定は?」

「名残惜しいですが明日もしくは明後日にはクスナ領出ようと思ってます。元の計画より大分滞在しているので」

「そうか、迷惑をかけた」

「そんなことありませんよ。たくさん、美味しいお料理を食べさせて頂きました。それに、職人さんも紹介してもらいましたし」

「……これは歴史に名が残る快挙であり、クスナ領にとって絶望の象徴が打ち砕かれた。それ報いるのは当然のことであり、この程度何もしてないに等しい。今後何かあればクスナ家に言え。可能な限り便宜を図ろう」

「ありがとうございます」


 その後は医者を呼び今後の治療方針などを相談した。

 そして、ある程度計画が進行したらリステッド家に別途結果などの報告書を送る旨を約束した。

 サラティス達は明日ではなく、明後日に領を立つことに決めた。

 ヨルバドフなどお世話になった人とお別れを済ませてから行こと思ったからだ。

 その日の夕食はクスナ家に泊ってから一番豪勢であった。

 翌日、ヨルバドフの店に訪れ、別れの挨拶をした。


「サラティス様、いつでも来てくれて構いません。最高の魚料理を提供するからよ」

「はい、期待してますね」


 タルサードとも挨拶をかわす。

 ヨルバドフ、タルサード共にクスナ家から口外厳禁を言われ契約魔術をかわしたそうだ。

サラティスからの説得もあり、特に文句なく進んだ。

 因みにタルサードが完治した事実は当面伏せられるそうだ。

 夜、ヨルバドフの店を貸し切り五人で宴会が開催された。


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― 新着の感想 ―
地球からの異世界転生じゃない異世界の中での同世界の転生だから、米やら醤油やらが異世界仕様の単語になってるというのは理解できますけど、やはり読みにくいというか読んでて無駄な翻訳リソースを使わされてる感じ…
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