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第169話「作り方を教えます」

 軽めの昼食をとり、クスナ家の人間と相対した建物と、サラティス達が寝泊りしている建物とはまた別の建物に案内された。

 建物の一階はただただ広い空間が広がっていた。

 騎士達が剣の訓練などに使っているのかもしれない。

 それくらい広い。

 その広い空間に細長い机が複数並べられていた。

 奥に衝立があり、それより奥は見えないがベッドが置かれているのは分かった。

 そして、そこには既に先客達がいた。

 身なりや雰囲気から医者や薬師達であろう。


「サラティスちゃん、こちらが医者と薬師の皆さんよ。契約魔術でサラティスちゃんのことは口外できないから安心してちょうだい」


 ノスタッチが手招きする。

 男性の医者が一名、女性の医者が一名。

 女性の薬師三名。

 使用人が材料の入った籠を持ってきた。それを机の上に置き部屋を出て行った。

 挨拶を済ませるが、誰もサラティスを子供だからという態度は取らなかった。


「ひとまず、作ってみますので見ていてください」


 正直質問はないと思われる。

 特段複雑な工程がないからだ。


「こんな感じです」

「一つ宜しいでしょうか?」

「どうぞ」

「ありがとございます。工程に置いて、魔術を使用しない場合も効果は変わらないものでしょうか?」


 質問したのは女性薬師であった。


「そうですね。結局は乾燥させられるなら火でやっても同じです。ただ外に干して時間経過はお勧めしません。肝は生ものなので乾燥する前に腐ってしまうかもしれません」

「なるほど」

「私からもいいですか?」

「どうぞ」


 皆薬師からの質問だ。

 当然と言えば当然だ。

 薬を調合するのが本職なのだから。


「この素材の量で何回分になるのでしょうか?」

「一日三回飲むとして、一週間分ですね」


 そしてそこから医者からの質問。

 薬の投薬量についてなどだ。


「基本的にはこの量で問題ないと思います。平均よりかなり身体の小さい人や、大きい人は調整した方がいいかもしれません」


 そして、今度は薬師達が試しに作りそれを見守る。

 さすがプロである。

 サラティスのように魔術のみで作ることはしないが、魔術具を使い問題なく、薬を作ることができた。


「サラティスちゃんは魔術が得意なのね」

「そんなでもないですよ」

「もう無詠唱ができるんだから、将来有望よ」

「ありがとございます」

「ところで、治験のための患者を呼んでるから見てもらえるかしら?」

「もちろんです」


 ノスタッチが傍に控えていた使用人に合図を出すと、直ぐに患者と思しき男が四人連れてきた。

 そして、衝立の奥のベッドの意味を理解した。

 恐らくここで治験をするのだろう。

 病院の方が確かに設備は整っている。

 だが、情報の秘匿性はかなり低い。

 ここならば、秘匿性に関しては最高であろう。

 患者たちはベッドに向かった。


「この方々は私の病院の患者です。右から順に軽度、軽度、中度、重度です」

「資料があるのなら貰えますか?」

「こちらです」


 患者の記録は他者に気軽に見せるものではない。

 だが今回は然るべき理由があるので書類を渡す。


「見て理解できるのですか?」


 医者の疑問の当然である。


「これはあくまで医者が治療のために使うものでして、専門用語などが多用されております」


 聡い貴族が見たところで全容が理解できるとは思えない。

 サラティス書類を端から端まで読む。


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