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第166話「もてなされ」

 使用人に案内され隣接する迎賓館に案内された。

 それぞれ個室に案内された。

 部屋の中は暫く引きこもって快適に生活できるくらい整っていた。

 三人は歓談部屋に集まった。


「二人ともありがとございました」

「まさか、平民の俺たちが公爵家の賓客とはな」

「セクド様やアレシア様を差し置いて私が賓客なんて恐れ多いですね」

「すみません二人にも迷惑かけて」

「おいおい、これを迷惑だと思うやつはいかれてるぜ?普通の平民が一生経験できねぇもんだぞ」

「でも嬉しくはないですよね?」


 ダヴァンの腕があれば、それこそ王宮でも通用するであろう。

 それなのに何故かリステッドにいてくれる。

 小さな子供の我儘に付き合ってくれているのだ。


「扱いには何も思わねぇ。領主様がかなりまっとうそうな人物で安心したのがでかいな」

「そうですね。貴族として実にご立派なお方かと。サラティス様の名誉を隠すことに良しとしませんでしたからね」


 夕方になり、使用人が食堂に案内してくれた。


「あら、初めまして。私はノスタッチよ」

「初めまして、サラティス・ルワーナ・リステッドです。本日はご招待頂き誠にありがとうございます」


 トクラスタの奥さんである、ノスタッチが迎えてくれた。


「もうじき、トクラスタも来るわ。ささ、お三人方座ってちょうだい」

 

 三人は言われた通り椅子に座る。

 グラスに注がれた果実水を口に入れ食事に備える。


「どうでしたか?うちの領は。最北のリステッドと大分様子も異なるでしょ?」

「はい。街の香りも、景色も大分違いますね」

「そうね。サラティスちゃんはお魚がお好きなんですって?」

「はい。生は食べたことなかったので、良い経験になりました」

「あらあら」

「?」

「ごめんなさい。ずいぶんと大人びた受け答えだから、ちょっとだけ驚いてしまったわ」

「あー」

「待たせた」


 トクラスタがやってきた。

 そしてすぐさま、料理が運ばれてきた。


「とっても美味しいです!」


 魚の煮込み料理を堪能する。

 かなり複雑な味わいで、街で食べた料理と比べかなりの手間暇が掛かっていることが窺える。


「そうか」

「このスープの味は何を使っているのでしょうか?」

「何だと思う?」


 トクラスタは少しだけいたずらな笑みを浮かべる。

 サラティスは再度スープを口の中に入れ、情報を引き出そうとする。


「……降参です。ダヴァン、分かります?」


 こういったことはプロに聞いたら間違いない。


「そうだな、サラティス様。このスープと魚の身は実に調和がとれてる。で、よく見ると少し油が混じってるだろ?」

「つまり、調和がとれる油ってことですか?」

「ああ。てことは、分かるんじゃねーか?」


 今まで色々と料理や食材について教えてきた。


「……油……まさか、魚から抽出した油ですか?」

「そうだな。このスープに使われてる身の魚は、肝にかなりの脂を溜めるんだ。それ処理してスープに混ぜたんだろ」

「意外だな」

「?」


 サラティスはトクラスタの言葉を待つ。


「いや、てっきり君の護衛だと思っていたが、ずいぶんと詳しいのでな。説明もなしにそこまで分かるとはなと」

「トクラスタ様、ダヴァンはリステッドの料理長です。こちらが本職です」

「なん……だと」


 トクラスタは言葉を失う。


「ということは、あの剣は飾りだったのか?」

「トクラスタ様発言しても宜しいでしょうか」

「ああ、君たちも賓客だ。遠慮することなど一切ないぞ」

「ありがとうございます。あれは飾りじゃありませんよ。リステッドの仕えだと、どの職でもそれなりに力はつくんですさ」

「魔獣か……ずいぶんたくましいのだな。確かに領主の娘を預けるのだ。それなりの信がないと預けるはずもないか」

「ええ。俺としては必要ないに、こしたことはないんですけどね」

「それはそうよね。こんな子が騒動に巻き込まれるなんて考えたくないものね」


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