表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/252

第137話「追及」

 打ち合わせしていたからだ。

 ダヴァンはソファーに座る。


「リステッドのお方といえば、ザバラット家でお茶会が開かれたとか。小耳に挟みましたよ」

「さすがは、腕利きの商人だな。耳も早いようで」

「とんでもありません」

「知ってるなら早い。そのお茶会に参加してな。サラティス様はここまで遠出したことはなかったから、せっかくなんで帰りは周辺の領地を観光していこうと、このタイメイに来た」

「ここは有数の鉱山を抱えてますからな」

「そうだ。鉱山にも行ってきたんだけどな。当然だが、俺はあくまで護衛。この場にはいねぇが、女性の世話係がついてる」


 サラティスは対話による交渉事は深くない。

 だが、ダヴァンが巧妙なのは理解できた。

 完全に場を掌握している。


「でだ、あんたの身内が誘拐したんだよ」

「ゆ、誘拐?」


 モグレンヴァはかなり動揺していた。

 それもそのはずである。

 嘘なのだから。

 事態が把握できず、焦っているのだろう。


「な、何かの間違いではないでしょうか?騎士なので捜査で行き違いがあったとか……」

「それなんだが、聞いたらあんたに指示されて誘拐したって白状したんだよ」

「ありえません!そんな指示出していません」

「慌てるな。あくまで捕まえた騎士がそう言ってたから、あんたにも確認しに来たんだから」

「……すみません」

「大丈夫だ。落ち着いて説明してくれ。苦し紛れに嘘をついてあんたに罪を着せて逃れようって魂胆かもしれないな」

「……あいつがどうしてそのような嘘を言ったかは分かりません。ですが貴族様を襲うような指示を出すことな絶対ありません。私はごろつきではなく、商会の会長ですから」

「土地勘が無く、幼く綺麗な少女貴族。人攫いならやましいことを考えてもおかしくないぜ?」

「ひ、人攫い?まさか、私達が人攫いをしているとでも?」

「どうなんだ?」

「もちろん、しておりませんよ。そんなことをしてバレたら私どころか商会は終わりです」


 サラティスは感心した。

 この男に。

 一部嘘の追及をされ身に覚えがないので動揺している。

 その中で明らかに嘘をついているがボロを出さずにダヴァンに答えている。

 やり手なだけある。


「それに私は商人です。常にリスクとリターンを考えて行動しています。私が誘拐を企てるリターンは一切ありません。なので商人として私は絶対手を出さない。これは明言できます」

「なるほどな。だがあいつはお前に命令されて、騎士の立場を悪用し勝手に人を攫って違法に奴隷にして鉱山で働かせるって言ってたけどな」

「な、じ、事実無根です」


 ダヴァンの追及はあくまで嘘である。

 本人が言ったと言っているが、当然言ってない。

 あくまで推察であるが、この反応からしてほぼ黒で間違いない。

 サラティスは後の二人を警戒する。

 ダヴァンの予想では最終的には口封じしようと、実力行使に出るだろう。

 これはサラティスの勘だが左に立っている男は魔術師だ。

 しかも人に攻撃するのに躊躇うことなくできる種の。

 あくまで個人的な感想にしかすぎないが。


「そうか。レンカで黒髪赤目の魔人を誘拐し奴隷にしたっていうのも、完全な嘘ってことだよな?」

「っつ……」


 ダヴァンは挑発に挑発を重ねる。


「どうなんだ?」

「もちろん、嘘ですね。確かに私は奴隷を使い鉱山業務に従事させてますが、全て合法です。見ますか?全て書類は保管してます」


 モグレンヴァは立ち上がり机に向かい、引き出しを開ける。


「やれ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ