表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/255

第108話「大切なのは」

 そして、話題は魔術関連に移り変わる。


「サラ、見てなさい」


 すぐさま練習用の人形が机の上に置かれた。


『治って』


 魔術式なしの詠唱のみ。

 人形の傷は数分で塞がった。


「すごいじゃないですか」

「でしょ。シェリー先生のお陰よ」

「それはフィーナ様が真面目に取り組んでおられるからですよ」

「サラ、何かアドバイスあるかしら?」

「へ?シェリーさんに聞くのが一番では?」

「いいのよ、サラティス。現段階で私は数をこなして無詠唱できるようになれば。そう考えてるし、現段階で特に拙い所もない。純粋にサラティスならどう思うかが私も知りたいわ」

「なるほど。なら、フィーナもう一回見せて貰えます?」

「分かったわ」


 シェリーの風魔術で人形に傷を作る。


『治って』


 結果は同じ。

 綺麗に傷が治った。


「どう?」

「魔術そのものは問題ないかと。ただ……」

「「ただ?」」

「人形が治るからって安心しちゃだめってくらいですかね」

「?」


 これはシェリーも首を傾げる。

 暴走の気配もないのだから。


「小さな傷であれば問題ないですが、ちょっと深い切り傷などは血が出ます」

「あ」


 フィーナは目をぱちぱちとさせる。

 シェリーもはっとした。


「血を見れば慣れないうちは動揺するでしょうし、傷口も良く見えなくなるなんてことも。血の量によっては対処も必要です。人形が綺麗に塞がったから、人間も大丈夫と慢心しないことが大切なのかなと」


 人形は血などは出ない。

 シェリーは魔術の知識は深い。

 だが、医療の知識はそこまで深くない。

 それに、回復魔術も病院で専門的に使ってきた訳でもない。

 魔術が正しく発動し作用するか。

 家庭教師として、それを基準としていた。

 サラティスの指摘は経験則から語られる非常に重いものであった。


「なるほどね。サラはどうやって練習したの?」


 実に困る質問である。


「本物で練習できたからですね」

「ああそっか。この間も大変だったのよね?」


 魔獣の被害が大きかったと伝えてある。


「はい、大変でした」


 本当に大変であった。

 ともて心踊ることもあった。

 その万感たる同意に二人は大変だったのだと改めて感じた。


「シェリー先生何か良い練習方はあるのかしら?」 


 リステッド家の環境と大きく異なるフィーナでは真似できない。


「申し訳ありません。専門知識がないためすぐには思いつかず。今度病院勤めの知人に聞いてみますね」

「ありがとうございます」


 そして、話題は魔術から日常にへと移り変わる。

 好きな食べ物の話。 

 最近流行りの服。

 シェリーのお仕事について。

 学園はどういう場所なのか。

 サラティスは初めてのお茶会であったが想像と違い、苦しいことなど何一つなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ