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第95話 複合魔法


突然の強い光に目が眩んだ一角黒豹ホーンパンサーは、呻き声を上げて目を閉じ、その場にうずくまる。


その一瞬の隙を逃さず、コハクとエメラが一緒に魔法を使う。


「「【風塵の渦】!」」


コハクの土魔法による土や砂と、エメラの風による風の渦。それにより、砂塵と風の檻に一角黒豹ホーンパンサーを閉じ込めたのだ。


複合魔法がうまくいったことに、大きくガッツポーズをして喜ぶエメラと、静かに満足げな表情を浮かべるコハク。


【錬金】(アルケミー)!」


そのまま、アルトの出した鎖とコハクの土魔法による拘束で、一角黒豹ホーンパンサーの動きを完全に封じたアルト達。


【風塵の渦】を解除すると、その場で藻掻きながらもほとんど身動きできずにいる一角黒豹ホーンパンサー


そして、エメラ達はある一点――一角黒豹ホーンパンサーの後ろ脚についている飾り――に狙いを定め、各々攻撃を放った。


しかし的が小さい上、一角黒豹ホーンパンサーを気遣って高出力の魔法は使えないため、なかなか破壊には至らない。


意を決したアルトが【氷造形】(アイスクリエイト)で氷の矢を作り、放った。矢は真っ直ぐ飛んで飾りの宝石に命中し、パキッと音を立てて宝石に大きなヒビが入った。


その途端、一角黒豹ホーンパンサーが酷く苦しみ始めた。


「!?」


攻撃は当たっていないにも関わらず、一角黒豹ホーンパンサーが突然苦しみだしたことに驚く一同。


一角黒豹ホーンパンサーは藻掻いた末に拘束を振り払い、そして――


「やばい、逃げっ…!」


――空に向かって長い長い咆哮を上げた。


それにより、周辺には轟音と共に雷の雨が降り注いだ。



しばらくしてようやく雷の雨が止まり、砂埃の舞う中で起き上がったキースとアルト。二人はアルトの【安全地帯】(セーフゾーン)のおかげで無事だった。


周囲には砕けた岩が散らばっており、所々焼け焦げの跡もある。一角黒豹ホーンパンサーの姿は見えない。


「コハク、エメラ、テナ!」


「おい、レシェンタ!生きてるか!?」


二人の呼びかけに応えるかのように、地面の一部が盛り上がり始める。そしてガラガラと音を立てて岩の破片が動き、現れたのは土の塊。

その上部が割れ、レシェンタとコハクとエメラが顔を出した。


「私たちは無事よ。コハクが掘っておいてくれた穴に、ギリギリで隠れられたから。」


「今もコハクの土魔法のおかげで出られたの。」


「そうか…。」


無事な様子のレシェンタたちの姿に、ホッとするキース。


「あれ?ちょっと待って、テナは…?」


アルトの言葉に皆が辺りをキョロキョロと見回していると、後方から声が聞こえた。


「にゃあ~~~!」


声のした方を見ると、崖の中腹あたりに生えた木と、その枝にしがみつくテナの姿。


「なっ…あんな所に!?」


「テナ!」


慌てて駆け出すアルトだったが、次の瞬間――テナのしがみついていた枝が折れた。


「危ない!」

読んで下さってありがとうございます。


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