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第92話 何だろう、あれ

【錬金】(アルケミー)!」


「【風の戯れ】」


一角黒豹ホーンパンサーはアルトの出した鎖を避け、エメラの出した木の葉と風による攪乱も意に介さないようだ。


「炎よ、我が魔力を以て我が敵を薙ぎ払え。燃え上がり、集い、つぶてとなりて降り注げ――【火球】(ファイアボール)!」


ふたりが時間を稼いでいる間に詠唱を終えたレシェンタが、間髪入れず放った【火球】(ファイアボール)。それもひらりと避け、その先にあったコハクの罠もひょいと避けていく一角黒豹ホーンパンサー


もちろん、相手も避けるばかりではなく攻撃も仕掛けてくる。接近戦では突進や爪での攻撃が、距離を取ると雷魔法が襲ってくるのだ。


キースは、詠唱に集中して防御がガラ空きになりがちなレシェンタを守っている。襲い来る爪を剣で受け止め、反動を利用して胴体を蹴飛ばし、どうにか距離を保つ。


アルトの肩に乗ったテナも戦闘に参加しようと頑張る。が、静電気よりは少し強い程度の、パチパチと爆ぜるような雷しか出せずしょんぼりしてしまう。


「なぁ、なんかやたらと攻撃避けられてねえか?」


キースが背中合わせになっているレシェンタに問いかける。


「相手はAランクの魔獣だもの。野生の勘が鋭いとかじゃないの?」


「勘ってレベルじゃねえだろ…何か打開策はないのか!?」


「そんなものあればとっくに…」


「待って。」


会話に割り込んだのはコハクだった。


「コハク?」


「さっきから一角黒豹ホーンパンサーの様子がおかしい。」


「それはわかってるわ。だってさっきテナを…」


悲しげなエメラの言葉を遮り、説明を加えるコハク。


「違う。何だろう……何か、苦しんでいるように見える。」


「苦しんで?攻撃は何も当たっていないはずよね。」


レシェンタの言葉に、皆が頷く。


「そう。でも唸り方にも最初と違って覇気がない。それにテナが鳴くと、苦しげに顔を歪ませることがある。」


「それってどういう…あれ?」


「今度は何?」


アルトの素っ頓狂な声に反応したのはレシェンタだ。


「何だろう、あれ…一角黒豹ホーンパンサーの右の後ろ脚…何か光ってるよ。」


「「「「後ろ脚?」」」」


アルトに言われて、それぞれが戦闘の合間に目を凝らして見てみると…たしかに一角黒豹ホーンパンサーのしなやかな後ろ脚に、宝石のような球のついた、飾りのようなものが見えた。球はゆっくりと明滅している。


「何あれ…一角黒豹ホーンパンサーは額の角以外、全身が黒い体毛に覆われているだけのはずよ。」


「見た感じ、飾りか何かか?魔獣がなんでそんなもの…」


ピシャアアァッ!!


次の瞬間――呆けていたレシェンタ達の頭上に雷が降ってきた。

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