第80話 どうやってお礼をすれば
当日のうちに、念のためにと領主邸には急ぎ鑑定士が呼ばれた。
鑑定結果が出るまでの間、アルト達は食事やスイーツをご馳走になったり、レシェンタの発案でフランチェスカ姫のお墓参りをしたりしながら結果を待っていた。
墓石の前では、コハクは随分長いこと祈りを捧げていた。
この100年のこと、時間がかかったがようやく約束を果たせたこと、新しい契約者のアルトのこと…いろいろなことをフランチェスカ姫の墓前に報告していたのだろう。
そして――鑑定の結果、あの首飾りが本物であることが無事証明された。
そこで一同は再び先ほどの部屋で領主夫妻と対面している。
「コハクさん、アルト君、そして皆さん…首飾りを届けてくださり、本当にありがとうございました。どうやってお礼をすればいいか…」
そう言って深々と頭を下げる領主夫妻。
「礼なら、俺たちよりもコハクに。100年もの間、たったひとりであの首飾りとフランチェスカ姫との約束を守っていたんです。」
キースの言葉に、首を振って異を唱えるコハク。
「首飾りを領主夫妻に見せたいと提案したのはアルト。だからお礼はアルトが受け取るべき。」
「それを言うなら“失われた首飾り”の話をしてくれたのはレシェンタさんだよ。領主様たちと会う約束をしてくれたのも。」
急に話を振られて、慌てて首を振るレシェンタ。
「わ、私は何も大したことは…やっぱり、お礼はコハクとアルトが受け取るべきだと思うわ。」
「それならやっぱりコハクだね。キースの言った通り、100年もこの首飾りを守ってきたんだから。」
アルトの言葉に反論しようとしたコハクだったが、それはにっこりと笑顔を浮かべた領主夫人がパンッと手を叩く音で遮られた。
「わかりましたわ。それではコハクさん、あなたにはどうやってお礼をすればいいかしら。精霊さんって、どんなものを差し上げれば喜びますの?」
興味津々な様子で訪ねてくる領主夫人の言葉に、しばらく悩むコハク。
「…それなら、フランチェスカのことを教えてほしい。」
「ひいお婆様の?」
領主夫人の問いかけに、頷きを返すコハク。
「フランチェスカは言っていた。戦争が終わった後とはいえ、敵国に嫁ぐ自分はきっと快くは迎えられないだろう、と。彼女がここでどんな思いで、どんな風に過ごしていたのかを…知りたい。」
コハクの言葉に、顔を見合わせて頷き合う領主夫妻。
「わかりました。では、当時の公爵――フランチェスカ姫の夫となった方の手記がありますので、ご覧いただきましょう。」
そう言って領主は先ほど見ていた古めかしい冊子を取り出し、中を開いた。
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