第76話 またか
「なあ、キース…お前らは一体何をしにダンジョンに行ったんだっけか?」
ここは冒険者ギルドの一室である。アルトにしてみればいつもの部屋。
一般的な冒険者はこうして別室で対応されることなど稀なのだが、アルトはその限りではないようだ。
その室内で、困惑したような呆れたような表情でキースに問いかけるギルマス。
「えーっと、キテシャ茸の採取と、あわよくばマジックアイテムをゲットしに…でしたかね。」
キースがペラリと取り出した依頼書を見ながら答える。
「で、収穫が“これ”なのか?」
「まぁ…そうなりますね。」
ギルマスとキース、それにアルト達の目線の先にあるのは――
・キテシャ茸10本
・岩蜥蜴3体
・(アルトの)マジックバッグ
・鉱石や宝石たくさん
・気を失った盗賊7人
「待て待て、ちょっと待て。前半はともかく、最後のふたつはおかしいだろうが。おい、目を逸らすなキース!」
「いやいや、俺は何もしてないですよ。さっきお話ししたでしょう。」
明後日の方向に向けていた視線をギルマスへと戻し、しれっと答えるキース。
「あー…鉱石と宝石はアルトが新しく契約した精霊からの贈り物で?盗賊は宮廷魔導士で臨時メンバーのレシェンタがやったって話だったか。」
要点を押さえたギルマスの説明に、うんうんと頷くアルト達。
「はー、まさかとは思ったがまたか。相変わらずおまけの方がデカくなる奴らだな…」
そう言って頭を掻くギルマス。
「だから俺は今回ほぼノータッチですって。」
「パーティーなんだから一蓮托生だろうが。ま、盗賊を退治してくれたことには礼を言っておく…助かったよ、レシェンタ。」
「どういたしまして。」
軽く頭を下げるギルマスに、にっこりと笑顔を返すレシェンタ。
「今日はキテシャ茸の依頼達成分の報酬だけ受け取っていけ。それ以外はまた金額が確定したら連絡する。」
「「わかりました。」」
◇
数日後、ギルドからの連絡を受けて報酬を受け取りに行くと、今回もかなりの金額になっていて驚いたアルト達。
もはや恒例となった別室対応。
鉱石や宝石の買取り価格は言わずもがなであったが、盗賊の捕縛に対する報酬の方も予想外に多かったのだ。
ギルマスによると、これまでにも何組もの冒険者パーティーが被害に遭っていて、別の町のギルドで懸賞金をかけられていた盗賊だったらしい。
ギルマスからは「少しは自重しろ」と言われた一同だったが、「自重ってどうすればできますか?」という純粋すぎるアルトの質問に「うっ」と固まってしまったギルマス。
後ろで声を殺して笑っているキースに拳骨を落とし、後はキースに丸投げしてギルマスは去って行った。
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