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第67話 ダンジョンでの戦闘

ダンジョン内は暗かったが、レシェンタの光魔法、【光球】(グロウ)のおかげでアルト達の周囲は明るく照らされていた。


「次の分かれ道を右だ。俺が先に様子を見てくるから、ここで待っててくれ。」


「ちょっと待ってキース、そっちには魔獣がいるよ。…たぶん4体。」


アルトの言葉に数秒ほどキョトンとした後、苦笑を漏らすキース。


「そっか、アルトには【魔力感知】があるんだったな。」


ダンジョンを進む際、通常は先頭を行く斥候がトラップや魔獣の有無を確認しながら進む。しかしアルトの【魔力感知】により、このパーティーでは急に魔獣に出くわす心配はないようだ。


「それなら、ここは左へ行って回り道をしよう。無駄な戦闘は、体力の消耗や無用な怪我を招くリスクがある。今回は採取依頼だけでランク上げ目的でもないし、できるだけ戦闘は避けて行くぞ。」


キースの言葉に一同は頷き、左の道へと歩を進める。


その後もアルトの助言で魔獣を、キースの経験と直感でトラップを回避しながら、一同はダンジョンの奥へと進んで行く。

アルトの【魔力感知】を初めて目の当たりにしたレシェンタは、その都度こっそりと感嘆の息を漏らした。


「次の角の先、魔獣がいるよ。たぶん3体…そんなに強くはないと思う。」


「そんなに強くはない、か…ここは避けられないから、俺とアルトで行こう。レシェンタは後方支援を、エメラとテナは後ろから敵が来ないか見張りを頼むな。」


洞窟の中なので小声で話すキースの言葉に、アルトは頷きを返す。


「支援…必要かしら?まあいいわ。万一の時は任せておいて。」


「こっちも任せて。」


「にゃあ。」


レシェンタの言葉に苦笑を返すキース。


キースも内心では、レシェンタの言う通りだと思っている。キースとアルトなら、このダンジョンで出る魔獣3体程度なら余裕で倒せるだろう。それに、アルトの【魔力感知】があれば後方の警戒は必要ない。


しかし、実戦では何が起こるかわからないのも事実だ。アルトの【魔力感知】に頼りきりになるのもよくない。


そんなわけでキースは、この特殊なパーティーでもできるだけ通常のパーティーと同様の動きを指示するようにしているのだ。


「じゃあアルト、行くか。」


「うん。」



そして、壁の陰からチラリと魔獣の様子を伺ったキース。


「あいつは岩蜥蜴ロックリザードだな。」


岩蜥蜴ロックリザードはEランクの魔獣だ。

体長1メートルほどの、トカゲのような外見をしている。ゴツゴツとした岩そのものの皮膚は非常に硬く、体重も重い。が、それ故に動きはさほど速くない。


「たしか水が弱点だよね。あと、首の付け根のところにある岩の境目。」


「お、よく覚えてるな。」


つらつらと出てきた情報に、感心するキース。


「うん。エメラとテナと一緒に勉強したからね。」


そう言って、【氷造形】(アイスクリエイト)で氷の短剣を創り出すアルト。


「はじめは僕が水魔法で攻撃するよ。ただ威力を抑えて撃つから、その後は一緒に頼むね。」


「もちろん。」


キースは力強く頷いてみせる。


「それじゃあいくよ…【水弾】!」


アルトの放った6発の水の球は、2発ずつ岩蜥蜴ロックリザードに命中した。

そうして怯んだところへアルトとキースが駆け寄り、それぞれ弱点目掛けて剣を振り下ろした。


――最終的にはキースが2体、アルトが1体を仕留め、3体ともしっかりとアルトのマジックバッグに収まった。


想像以上にあっさりと終わった戦闘に、キースは苦笑いだ。


「さすがにEランクの魔獣相手だと、手間取りもしないな。前が剣大蛇あれだったから、手応えがなさすぎて違和感がある。」


「やっぱり支援なんて必要なかったわね。」


「そうね、やることなくて退屈だったわ。」


「にゃあ~」


そう零すレシェンタ、それにエメラとテナは、キースよりも更に拍子抜けした様子だった。

読んで下さってありがとうございます。


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