第54話 緑色のポーション
「「キース!」」
「にゃ!」
慌てて駆け寄るアルト達。
「キース、大丈夫?一体どうし…」
慌ててキースを抱き起こすアルト。その時、ヌルリとした生温かい感触を手に感じた。
驚いてアルトが自身の手に目をやると、そこにはべったりと赤い血が付いていた。
「~~~っ!」
エメラが声にならない悲鳴を上げる。
先ほどの戦いで、キースは左腕に剣大蛇の尻尾による一撃を食らってしまっていた。傷自体はさほど深くはないが…
“掠り傷でも命取り”―――キースの言葉がアルトの頭をよぎる。
(どうしよう、キースが死んじゃう!)
頭が真っ白になり、カタカタと震えるアルト。
そんなアルトにエメラはしっかりしなさいと呼びかけ、テナはアルトの荷物が入った方のカバンに頭を突っ込んでゴソゴソしている。
はっと我に返ったアルトは、あるものの存在を思い出した。
「そ、そうだ!たしか毒消しのポーションが…」
アルトが我に返ったことに気づいたテナは、パッとカバンから退いた。
「ありがとう、テナ、エメラも……あった、これだ!」
アルトはカバンを探り、取り出した緑色のポーションをキースの傷口にかけた。
怪我や毒に効果があるタイプのポーションは飲んでも効くが、患部にかけても効く。
ポーションの種類や使い方をキースから教わっておいてよかったと、心底思ったアルト。
「ハァ…ぅ…うぅ…」
小さく呻き声を上げ、微かに身じろぎするキース。ゼエゼエと苦しそうだった呼吸音はいくらか落ち着いたが、とても完治したようには見えない。
「このポーションだけじゃ治らないの?そんな、どうすれば…」
焦るアルトに、再度声をかけるエメラ。
「落ち着いてアルト。キースも言ってたでしょ?この低級ポーションでは毒草やEランク以下の魔獣の毒くらいなら完全に解毒できるんだって。」
「そ、そっか。でも、剣大蛇はAランクだったから…つまりキースは…」
やはり助けられない――そう思って涙目になるアルト。
「もう!落 ち 着 い て。話はまだ続くのよ。完全には解毒できてないけど、症状は確実に良くなってる。ちゃんと効いてるわ。だから、そんな顔しないの。キースが危なくなったら、アルトが助けるんでしょう?」
エメラの言葉に、ハッとするアルト。それは、ガルザを仕留めに行ったキースに対して、アルトが口にした言葉だった。
(そうだ、僕がしっかりしなきゃ。パーティーメンバーなんだから…僕がキースを助けるんだ。)
目元をごしごしと拭って顔を上げたアルトの表情には、不安の色はもうなかった。
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