表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/188

第50話 初めての冒険

レカンタの街から依頼の場所――隣町付近の街道までは、2日ほど歩けば到着する。今回の依頼のポイントは、討伐対象の数がはっきりしていないことだ。そこは完全にアルトの【魔力感知】頼りになってしまう。


そこで時折休憩を兼ねて止まり、【魔力感知】で周囲を警戒しつつ進むことになった。



「どうだ、アルト?」


「うん……まだ遠くだけどこの先に、前に戦ったのと同じくらいの魔獣がいるみたいだ。きっとガルザだと思うんだけど…3、いや4頭かな。」


アルトは集中するために閉じていた目をゆっくりと開いた。そして、キースの差し出した水を受け取り、口へと運ぶ。


「1頭は、他の3頭とはちょっと離れた所にいるみたいだけど。」


「4頭か…ギルマスの言った通りみたいだな。まだ他にもいるかも知れないから、警戒しながら進もう。」


「うん、そうだね。」


警戒しながら…と言いながらも、目線の先には無邪気に蝶を追いかけ回す、ハンカチを外した状態のテナ。その様子を見ているとつい頬が緩み、気が抜けそうになる二人。

キースは頭をブンブンと振り、気持ちを切り替える。


「それにしても【魔力感知】ってのは凄いな。正直、アルトのそれが無かったらこんな依頼受けられなかったぜ。」


「ありがとう。でも、それを僕に教えてくれたのはエメラだからね。エメラのおかげだよ。」


「う、うん、まぁ…そうとも言えるわね。(実はアルトの魔力感知の方が、私よりも精度が高いんだけどね。)」



「キース、1頭そっちに行ったよ!」


「おう!任せろ!」


対峙するガルザは3頭。アルトひとりでも楽勝なのだが、パーティーなのだから連携して攻撃しよう、ということになった。


今回はアルトが魔法でできる限り拘束して足止めし、取りこぼしをキースが引き受けることにした。


ギルマスとの試験の際に【錬金】(アルケミー)の鎖での拘束に時間がかかったため、拘束の魔法をもっと工夫してみたい、というアルトからの要望があったのだ。


今回は【錬金】(アルケミー)の鎖ではなく、単純に【土造形】(アースクリエイト)を使い、身体を土に埋めるような形で拘束した。


動きを止めるのならば【重力】(グラビティ)という手もあるのだが、あれは出力の調整が難しく、アルトとしては生物にはあまり使いたくないのだ。


アルトは3頭のうち2頭のガルザを拘束することに成功した。しかし、最も遠くにいた1頭は土の拘束を振り切り、キースの元へと向かったのだ。



「っ…おらっ!」


キースは襲い来るガルザの突進をくるりと避け、回転した勢いのままガルザの背後から剣で攻撃した。攻撃は急所に入り、一撃でガルザは倒れた。


拘束済みの2頭を【炎弾】で無事仕留めたアルトは、キースの元へと駆け寄った。


「キース、大丈夫だった?」


「ふー…ああ、ちゃんと仕事があってよかったぜ。任せっきりは御免だからな。」


ニカッと笑って見せるキースに、アルトも笑みが零れる。


「さてと、こいつらをアルトのカバンに入れるのは俺に任せてくれ。アルトは【魔力感知】で周囲の警戒頼むな。たしか、もう1頭いるって話だったよな。」


「うん!じゃあそっちは任せるね。」


アルトからカバンを預かったキースは、まず自分が仕留めたガルザをその中に入れた。そしてアルトが拘束して倒した2頭の元に向かい、しまったと額に手を当てた。


「あー…アルトに拘束を解くように頼んどくべきだったな。」


身体の大部分が土に埋まった状態の2頭のガルザを前に、頭を掻くキース。しかし【魔力感知】に集中し始めたばかりのアルトに声を掛けるのも気が引ける。


「ん?何だ?」


頭を掻いているキースに近づいて、クイクイと服の袖や裾を引っ張るエメラとテナ。


「私たちが手伝ってあげるわ。」


「にゃあ!」


「本当か?そりゃ助かる。」


キースは剣の鞘で、エメラは風魔法で、テナは前足で、それぞれ土を掘った。

ほどなくして掘り出したガルザ2頭をカバンに入れ、ぐっと伸びをするキース。


「ありがとな、ふたりとも。んじゃ、アルトのところへ行こうか。」


「どういたしまして。テナ、行きましょう。」


「にゃあ!」


皆の足音に気づいたアルトは顔を上げ、キースに報告をする。


「キース、あっちに離れてたもう1頭がいるよ。それと…もっと向こうに、ガルザよりも強い何かがいるみたいなんだ。何かはよくわからないけど。」


「ガルザよりも強い何か…か。何にせよ、魔獣がいるなら確認はしておきたいな。戦闘になるかは見てからの判断になるが…行けるか?」


「うん。」


二人が頷きあって歩き出そうとすると…


「にゃあ!」


テナが不満げに声を上げた。


「ああそうだ、エメラとテナが、ガルザを掘り出すのを手伝ってくれたんだ。助かったよ。」


「あ!そういえば土の拘束を解くの忘れてた…ごめんね。ふたりともありがとう。」


キースに謝りつつテナを抱き上げ、よしよしと撫でるアルト。


「どうってことないわ。」


「にゃあ~!」


アルトに撫でられて満足げなテナと、アルトの肩に腰掛けながらニッコリと笑うエメラ。


「謝るこたぁないが、次は仕留めたら拘束を解いてくれると助かるぜ。」


「うん、気をつけるよ。」

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

ブックマークや、評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援していただけると執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ