番外編 冒険者ギルドのざわめき(1)
書きたいことが色々あったので、番外編を挟むことにしました。本編をお待ちの方がいらっしゃいましたら、もう少々お時間をくださいませ。
〈受付の女性と同僚との会話〉
「ねえねえ、噂の大型新人冒険者ってどんな人だった?かっこいい?」
「大型……ね。」
休憩中に同僚から話を振られた女性は、先ほど応対した新人Bランク冒険者――大型新人、もとい小柄な少年――のことを思い出す。
「まだ少年ってくらいの男の子だったけど、顔は結構整ってたと思うよ。素直に話を聞いてくれたし、礼儀正しくて、それでいて芯がある感じで…将来有望かな。」
「え、あなたってもしかして年下好き!?その子のこと狙ってるの?」
「ち、違うよ!いい冒険者になりそうってこと。」
驚いて零したお茶を拭きながら、慌てて否定する。
「なぁんだ。冒険者にどれだけ言い寄られても顔色一つ変えないあなたにも、ついに春が来たかと思ったのに。」
「バカなこと言ってないの。私たちの仕事は、冒険者の皆さんを事務的な面でサポートすること。必要以上に愛想を振りまくことじゃないでしょ。」
「もう、本当にお堅いんだから。」
〈若いギルド職員同士の会話〉
「なぁ、聞いたか?新人冒険者の噂。」
茶髪の青年が、隣の黒髪の青年に話しかける。
「ああ。いきなりBランクってやつだろ?凄いよな。」
「それがな、まだ子供らしいんだ。」
「は?冗談だろう。」
「それが本当らしい。応対をしたって受付の子が、同僚と話してたのが聞こえたんだ。少年くらいの年の男の子だった、ってな。」
その会話に、緑色の髪の青年が加わる。
「その冒険者の話、俺も聞いたぞ。なんでも、ギルマスが特別に試験したらしい。」
「それ、不正したんじゃ…」
「おま、滅多なこと言うなよ!」
慌てて茶髪の青年が黒髪の青年の口を塞ぎ、周囲をきょろきょろと見回す。
「そうだぞ、もしギルマスの耳にでも入ったら…」
「不正じゃないよ。」
今度は栗色の髪でそばかすのある青年が会話に加わった。
「っお前か。脅かすなよ…」
「なんでそう言い切れるんだ?」
「何か知ってるのか?」
興味津々な様子の三人。
「うん。手合わせしたのはギルマスだけど、試験官はダンテさんだったらしいから。」
「「「あー…」」」
「あの人が関わってるなら、不正は有り得ないな。」
「ああ、違いない。」
「誰だよ、不正とか言ったの。」
「「お前だろ。」」
ダンテの名を聞いて一様に納得する三人。
「僕らより若いのに、いきなりBランクの冒険者なんて凄いよね。きっともっと凄い冒険者になるだろうから、今のうちにサイン貰いたいなぁ~。」
「確かに。」
「そのうちSランクとかまでいったりして?」
「それは無茶だろ。Sランクなんてほんの一握りの天才しかなれないって。」
「もしかしたらってこともあるよ。せっかくの大型新人なんだから、こっそり期待するのはいいんじゃないかな。」
まだ見ぬ“Bランクの少年冒険者”に、それぞれ思いを馳せる一同であった。
〈テイマー・従魔登録担当者の独り言〉
はぁ~!ついに、ついに!
待ちに待ったテイマーさんと従魔ちゃんが現れたー!
この喜びを誰かと分かち合いたいんだけど、この部署私しかいないんだよね。
そもそもギルドに所属しているテイマーが一人もいないから、部署が残ってるだけ奇跡。
私は大好きなもふもふと戯れられると思って、この“テイマー・従魔管理課”を選んだんだけど…蓋を開けてみれば、配属されてこの方ずーーーっと“登録テイマーなし”“登録従魔なし”。
もふもふもおあずけ。
同僚たちからは小馬鹿にされ、来る日も来る日も雑務のお手伝いばかり。
でもでも、ようやくお仕事ができた!
記念すべき新人テイマーさんは、アルト君11歳!私より8つも年下。まぁそれは置いといて。
そしてその従魔ちゃんは、なんと一角黒豹の子供、テナ。
ほとんど普通の黒猫だったけど、真っ黒でふわふわで、とっても可愛かった。
いずれは角や牙も生えて、大人のかっこいい一角黒豹になるのかな?
ついで(?)に紹介してもらった風の精霊のエメラ…さん?は、小さくて可愛いくて、とっても綺麗だった。彼女のことは積極的には広めたくないらしいから、今はここだけの秘密。
アルト君曰く、今後従魔を増やすかはまだわからないらしい。ちょっと残念。
でも、もし増えたら必ず挨拶に来るって言ってくれた。
テイマーと登録課職員っていう間柄では当たり前のことなんだけど、“登録に”じゃなくて“挨拶に”来るって言い方が…何ていうか、凄く好感度高い。正直、かなり嬉しかった。
はぁ~、また会いたいな!
読んで下さってありがとうございます。
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