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第47話 キースの知り合い

レシェンタの口調を少し修正しました。

買い物をした翌日、二人はまた一緒に街を歩いていた。エメラとテナはアルトの持つ新しいカバンに入って、ぴょこんと顔を出している。

ちなみにこのカバンには、すでに【魔力遮断】の魔法をかけてある。


「ねえキース、これから会いに行く人ってどんな人なの?」


「前にチラッと話したかも知れないが、俺の知り合いだ。結構な使い手のマギアで…確か今は、宮廷魔導士の一人だったかな。」


「うん、ちょっとだけ聞いた覚えがあるよ。それで、宮廷魔導士って?」


キースの知人にマギアがいることは聞いていたアルトだったが、“宮廷魔導士”というのは恐らく初めて聞く言葉だ。


「あー…そこからだったか。なんつーか、この国の王…偉い人に仕えてる魔法使い達の一人なんだ。」


「へー、じゃあ、凄い人なんだね!」


「ああ。まぁ、色々と凄い奴だよ。(お前もだけどな。)」



先ほどギルド支部の受付で預かったメモの通りに進むと、アルト達が泊まっているよりも豪華な宿が見えてきた。


キースは冒険者タグを見せつつ、宿の店主に用件を伝えた。すると、店主はにこやかに「では、お呼び致しましょう。」と言ってスタスタと行ってしまった。


(そう言えば、冒険者タグは身分証になるって言ってたっけ。)


少し待っていると、綺麗な水色の髪の女性がやってきた。


「久々じゃない、キース!」


「よう、レシェンタ。」


レシェンタと呼ばれた女性は、スラリとした体躯に白いローブを纏っている。マギアである彼女から感じる魔力は、かなり強い。ガルザ8頭を束にしたものと互角か、それ以上かもしれない。


「あなたの方から訪ねてくるから何事かと思ったら、どうしたのその子。」


“その子”と呼ばれてレシェンタと目が合ったアルトは、緊張しながらもペコリと会釈をした。


「初めまして、キースの幼馴染のレシェンタよ。」


「初めまして、アルトです。ねえキース、幼馴染って?」


事前に聞いていた“知り合い”とは違うのだろうかと不思議に思い、小声でキースに尋ねるアルト。


「あー…子供の頃からの知り合いってことだ。まぁそこは重要じゃないから置いといてくれ。」


「ちょっと、何をコソコソと話してるの?ねえキース、その子まさか隠し子とかじゃ…」


「なわけあるか!色々あったんだよ。」


見当違いの見立てに驚いたキースは、慌てて否定する。


「アハハ、冗談よ。」


「ったく相変わらずだなお前は…」


軽快に笑う彼女は、とても明るい性格の女性なのだろう。アルトはキースの“知人”が女性だったことに驚きつつも、良い人そうだったので安心していた。


キースは頭を掻きながら悪態をついてはいるものの、その表情には親しみが見て取れる。


「こんな所で立ち話もなんだし、部屋にいらっしゃいよ。ちょうど今日は何も用事がなくて、暇だったから。」


「ああ、助かるよ。」



「ちょ、ちょっと待ってキース…いくら何でも情報過多よ。さすがの私でも処理と理解が追いつかないことが多すぎるわ。少しずつ確認させてもらってもいいかしら?」


「ああ、いいぜ。」


キースは想像通りの反応に少し笑いながら、一旦話を中断した。


「コホン。えっと、アルト君?だったわね。君はマギアで、魔法が使える。これは間違いない?」


「はい。」


「それで、使う魔法は詠唱無しの自作魔法ですって?誰かに教わったとか書物で学んだとかではなく?」


「はい。教わる相手がいなかったので、全部手探りで訓練をしました。」


アルトの答えに、嘘でしょ…と天井を仰ぎ見るレシェンタ。

そこへ、呆れた顔のキースから指摘が入った。


「おいレシェンタ、アルトが怯えてるだろうが。そんな取り調べみたいな聞き方するなよな。」


「あら、ごめんなさい。驚いちゃってつい…それで、契約精霊と従魔がいるのよね。見せてもらってもいいかしら?」


「いいですよ。エメラ、テナ、出ておいで。」


アルトが声を掛けると、カバンから出てきてぐーっと身体を伸ばすテナ。続いて、ふわりと飛んでアルトの肩に座るエメラ。

そして、まじまじとその様子を見つめるレシェンタ。


「すごい…本物の精霊だわ。それで、こっちの子は何て魔獣なのかしら?普通の黒猫にしか見えないけれど…」


「テナは一角黒豹ホーンパンサーの子供です。」


アルトがそう言うと、レシェンタはくわっと目を見開いた。


一角黒豹ホーンパンサー!?え、嘘、本当なの?」


「本当だよ。額にテイムの印もあるだろう。」


「額に?……あ、本当ね。」


「驚くのも無理はないが、いちいち疑うなよ。ここで俺らが嘘つく意味なんかないだろうが。(つい最近もこれと似たようなやり取りをした気がするんだが。)」


キースがため息をつきながら言うと、レシェンタはバツが悪そうな顔で謝罪する。


「あー…気を悪くしたなら謝るわ。二人を疑ってるつもりはないんだけど、突拍子もない話や珍しいことばかりだから、ついね。」


レシェンタは“宮廷魔導士”という職業柄、“新発見だ”と言って様々なものや魔法などを見せられる機会がある。そのため「偽物ではないか、眉唾ではないか」と疑ってかかるのが癖になってしまっているのだ。

読んで下さってありがとうございます。


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