第42話 ラクをしたいだけ?
「なるほど…つまり、アルト君は他者の魔力の有無やその大きさを感知することができる、と。」
「えっと…はい。」
大人たち三人にじっと見つめられ、落ち着かない様子でダンテの質問に答えるアルト。
「ちなみに、それはどのくらいの距離まで感知できるものなのですか?」
「ここからだと、この建物の中くらいなら。集中すれば…街の入り口くらいまで感知できます。」
「そんなに…」
想像以上の感知範囲の広さに、驚きを隠せないダンテ。
「ゴホン!確かに大半の魔法使いは、自分以外のマギアや魔獣の魔力を感知できると俺も聞いたことがある。だがそれは、目の前の相手に魔力があるかどうかがわかる、という程度のものだ。」
ギルマスの言葉に目をパッと輝かせたアルトだったが、続いた言葉に少しがっかりした。
「アルトほど広範囲に、それも数や魔力の大小まで正確に感知できるなどという魔法使いは、まずいないだろう。そこそこ長くギルマスをやっている俺でさえ、聞いたことがないからな。マジックアイテムを使うと言うなら、話は別だが。」
「それじゃあやっぱり…魔力感知のことも、内緒にした方がいいですか?」
「それは問題ないだろう。アルトが頑張って覚えた魔力感知は、冒険者としてやっていくなら必ず役に立つ。もし人に聞かれたら、勘が鋭いとか直感が当たりやすいとか言ってごまかせばいいさ。」
キースが笑いながらそう言ってくれたおかげで、不安で一杯だったアルトは少し気が楽になった。
「キース、お前がラクをしたいだけじゃないのか?」
「ラクって、そんなつもりは…少ししかありませんよ。アルトがいくら強いと言っても、冒険者二人のパーティーなんです。安全な道を選ぶに越したことはないでしょう。」
キースの正直ながらも的を射た言葉に、ギルマスは仕方ないとばかりに大きなため息をつく。
「ま、それもそうか。キースの言う通り、冒険者稼業では魔力感知はかなり重宝するだろう。だがなアルト、カバンと同様、使いどころには注意するんだぞ。」
「はい、わかりました!」
ギルマスのお墨付きを貰えて安心したアルトは、元気よく返事をした。
「で、あー…何の話だったか…」
話が一段落したところで、元々は何の話だったかと考えを巡らせるギルマス。
その隣でダンテが頭を下げ、キビキビと話し始めた。
「話の腰を折ってしまい失礼しました。確か森からここまでの道中では、そちらの一角黒豹…テナ、の親らしき魔獣の魔力は感知できなかった、というお話でしたね。」
「そうだったな。つまり……アルトの言う通りなら、ソイツの親は今この近くにはいない。近づけばアルトが気付く…と。」
「はい。だから僕が、僕たちがテナと一緒に旅することを許してもらいたいんです。お願いします!」
「俺からも、お願いします。」
真剣な表情で頼み込み、頭を下げるアルトとキース。そしてそれに倣うようにペコリと頭を下げるエメラとテナ。
「話はわかった。ん-、俺もどうにかしてやりたいが、こればっかりは…」
そう言って考え込むギルマスの横で、ダンテが提案をする。
「でしたら、テナをアルト君の従魔として届け出てはいかがでしょう?」
「「従魔?」」
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