第38話 アルトの魔法
ギルマスはアルトに向き直り、切り出す。
「アルトの魔法について聞きたいんだが、いいか?」
「いいですよ。」
「大斧の初撃をアルトが避けた時に、素手で防がれた気がしたんだが…」
「あれは腕に【装甲】の魔法をかけておいたんです。キースの助言で、腕だけは守ってて…おかげで痛い思いをせずにすんだよ。ありがとう、キース。」
「礼を言われるほどのことじゃないさ。だが、役に立ててよかったよ。」
キースは片手を軽く上げながら答える。
「【装甲】…聞いたことのない魔法だが、それも自己流の?」
「はい。僕の魔法は全部、僕かエメラが考えたものです。」
「……そうか。」
その後もギルマスの質問は続いた。
【装甲】にはじまり、【炎造形】、【錬金】、【飛行】と、アルトの使う魔法はギルマスもダンテも聞いたことのない魔法ばかりだった。
これだけ独創的で強力な魔法ばかりなのに、ギルマスはそのような魔法の使い手に心当たりが全くなかった。
長いこと考え込んだギルマスはようやく、アルトが本当に独力でこれらの魔法を開発・習得し、行使しているのだろうという結論に至った。にわかには信じがたいことだが、他に考えようがないのだ。
(新魔法の開発なんて、本来は宮廷魔導士や魔法学者あたりがするものなんだが…こんな少年が?それも、使う魔法はほぼ無詠唱ときた。これが知れたら、世の魔法使い連中がひっくり返るぞ。なるほど、キースが“特殊”と言ったのも頷ける。)
「ところでキース、試験後に話したいことがあると言っていたが…アルトの魔法のことだったのか?試験前に話すとアルトの手の内をバラすことになるし、これだけの魔法を詠唱も無しに使うとなると、いずれ絶対に目立つからな。」
「あー…いや、まだ序の口です。」
「おい、冗談だろう。」
キースが苦笑いしながら寄越した返事に、眩暈を覚えるギルマス。
「こっちの話は本当に内密なんで……ダンテ試験官には席を外してもらいたいんですが?」
「乗り掛かった舟から降りろと?中途半端は寝覚めが悪いので、最後まで聞かせていただきますよ。口は堅いつもりですので、ご安心を。」
「だそうだが、どうする?」
説得しても無駄な様子のダンテに、肩をすくめるキース。
「私は構わないわ。この人、カタブツっぽいけど信用はできるみたいだから。」
「僕も大丈夫だよ。」
二つ返事で了承した二人の人の良さに呆れかけたキースだったが、精霊であるエメラは人の良し悪しを判断できるのだったと思い出して納得する。
「二人がそう言うなら、俺も異論はないぜ。んじゃアルト、音が外に漏れない魔法ってあったよな?この部屋にかけてもらえるか。」
「うん。【無音】……よし、これでいいよ。」
「!?」
「あー…うん。もう何でもありだな、アルトは。」
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