第31話 キースの報告
「っはー……キース…お前それ、本気で言ってるのか?」
キースからの報告をひと通り聞いたギルマスは、大きなため息をついて頭を抱えていた。
キースの報告はざっと三点。
一点目は、護衛任務の完了報告。
――後ほど受付でも報告して報酬を受け取るように、とのことだった。
二点目は、ガルザの件。
これまでの傾向ではあり得ない区域に8頭ものガルザの群れがいたこと。そしてその群れは討伐済みであること。
――この件にギルマスはひどく驚いていたが、討伐済みと聞いて安堵しつつも更に驚いた。後ほど森に調査隊を派遣するらしい。
三点目は、もちろんアルトのことだ。
アルトがマギアであること。
魔法はほぼ自己流だが、かなりの使い手であること。
キースを助け、ガルザを討伐したのがアルトであること。
エメラという契約精霊がいること。
そして、冒険者になってキースとパーティーを組む予定であること。
時折、ギルマスはアルトにもいくつか質問をした。
生まれはどこか、年齢は、エメラとはどこで出会ったのか、キースの話は本当か等々、アルトは聞かれたことに正直に答えた。
――そして報告をひと通り聞いたギルマスは、軽いパニックになった。
冒険者としての実力も経験も十分に備えた“ギルドマスター”が取り乱すことなど、滅多にない。が、マギアとはいえ“11歳の少年がCランクの魔獣8頭を一人で倒す”など、どう考えても普通ではないのだ。
「もちろん本気ですし、全て事実です。嘘つくメリットがないでしょうよ。というか、嘘ならもう少しマシな嘘つきますって。」
「それはそうなんだが、あまりにも荒唐無稽すぎてな。森で幻覚草にやられたとか、頭打っておかしくなったって方がまだ真実味があるぞ?」
「ま、ギルマスの意見ももっともです。俺もはじめは夢か幻の類かと思いました。でも、精霊がいるっていうのは見てわかるでしょう?」
そういうキースの横、アルトとの間には話の途中から姿を現したエメラがいて、うんうんと頷いている。ちなみにテナはアルトの膝の上で丸まって寝息を立てている。
「まあな。俺も精霊は初めて見た。魔力がなくても見えるものなんだと、驚いているところだ。」
アルトはというと、内心ものすごく焦っていた。
自分のしたことは変なことなのか、やっちゃいけないことだったのかと、とても不安になったのだ。
「とにかく、ここで話していても埒が明かん!アルトがマギアなのは間違いないんだよな?だったら冒険者試験も兼ねて、アルトの魔法を見せてもらおうか。キース、お前も来るんだろう?」
「もちろんです。アルト、今から試験になるけど大丈夫か?」
「う、うん。」
「そう不安がるな。アルトのいつも通りの魔法を見せてくれりゃいいんだ。…ギルマスの度肝抜いてやれ。」
アルトの不安を感じ取ったキースは軽い調子で言葉をかけ、後半はニヤリとした表情で、小声で付け足した。
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