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第26話 旅支度

「よし!これでいいかな。」


満面の笑みのアルトと、ポカンと大口を開けて固まるキース。そしてなぜか得意げに胸を張るエメラと、その隣でエメラの真似をしているテナ。


「なあ、エメラ…アルトの魔法っていつもあんな感じなのか?」


「ええ、そうよ。随分驚いてるみたいね?」


「そりゃあ…な。」


キースはこれでもかというほど驚いているが、アルトは単に旅支度を整えただけである。



まず、アルトは広げていた毛皮を拾い上げ、風魔法で簡単に土を落としてカバンに収納した。


次に、周囲の【安全地帯】(セーフゾーン)とガルザの山の【障壁】(バリア)とを解除した。


「キースは怪我が治ったばかりだからそこで待ってて。すぐ済ませるから。」


「あ、ああ。」


ガルザの山に向かっていったアルトは、自身に【身体強化】をかけてガルザの身体を持ち上げ、次々にカバンへと収納していった。


仕上げに炎魔法で血の痕跡を焼き払い、土魔法で地面をきれいに均した。


ついでにと土魔法の応用、【錬金】(アルケミー)でキースが言っていたネックレスも作った。金では目立つらしいので、今回は銀で細い鎖を形作った。



「よし!これでいいかな。」


指輪から魔法石を外し、ネックレスにつけ直したアルトはくるりと振り返ってキースの方に向き直った。


「どうかな、キース…って、あれ?どうしたの?」


「いや、うん。やっぱアルトは凄いなって思ってただけだ。気にすんな。」


ハッと我に返ったキースは、苦笑を漏らしながら説明した。


「凄い?」


「ああ。そのカバンも、アルトの使った魔法も、全部。」


カバンとアルトを順に指差し、最後にアルトの頭をポンポンと撫でるキース。


「そうかなぁ。」


(だろうなとは思っちゃいたが、やっぱ無自覚かよ。)


「ああ。そのネックレス、いい出来だな。首から掛けてみてくれるか?」


「こう?」


キースの言った通りに、首にネックレスを掛けるアルト。


「そうだ…よし、それなら服で隠れるな。ただ、動くと襟元から見えるだろうから…服も首が隠れるデザインのヤツにした方がいいかもな。」


「僕、この服しか持ってないよ。」


「じゃあ新しく買えばいいさ。さっきも言ったが、ガルザの素材やら他の毛皮やら、売れば結構な金額になるからな。」


服を買う。ものをお金に替える。

アルトはこれから訪れるであろう初めての経験に想いを馳せ、わくわくした。


「うん!それじゃあ…えっと、どこへ行けばいいの?」


「まずは、アルトの冒険者登録だな。冒険者ギルドへ行こう。」


冒険者登録と聞いて、アルトの目がパッと輝いた。


「ハハ、楽しみそうで何よりだ。俺も依頼の完了報告と、ガルザのことも報告しないとだからな。ギルドまで一緒に行こうぜ。」


「うん!ギルドってどこにあるの?」


「俺が拠点にしてるギルド支部は、ここから3日ほど歩いたところにある街――レカンタにあるんだ。」

読んで下さってありがとうございます。


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