第25話 マジックアイテム
マジックアイテムとして知られているものには、炎や水などの魔力を宿した武器や防具、それにアルトの持つカバンのように便利な道具などがある。
用途も形状も千差万別のマジックアイテムであるが、それらに共通する特徴は“迷宮のみで手に入れることができる”という点だ。
ダンジョンはあちらこちらに存在しており、その形状も様々である。洞穴のようなダンジョンもあれば、城や塔のような構造物もある。
その全てに大なり小なり魔獣が棲んでおり、マジックアイテムを手に入れるには相応の危険が伴う。そのため、マジックアイテムは貴重とされ、高額で取引されるものが多いのだ。
そして、マジックアイテムは人の手では作れない。いや、作れるとは誰も思いもしなかった、と言うべきだろうか。
しかし、アルトはマジックアイテムを作ってしまった。この事実は、恐らくこの世界の常識を覆すものである。が、黙っていれば問題ない…はずである。
「つー訳でアルト、お前がマジックアイテムを作ったことは当面内緒な。そのカバンのことも本当は隠したいんだが…ま、どこかのダンジョンで見つけたことにしとくか。」
討伐した魔獣も荷物も入れ放題で簡単に持ち運べる…あんな便利なものを使わずに隠すなど、キースにしてみればもったいないことこの上ない。
「うん、わかったよ。」
「んで、途中で遮っちまったが…その指輪やブレスレットもアルトが作ったって?」
そう言いながらキースが指差すのは、赤と青の魔法石がついた金色の指輪とブレスレット。
「うん。でも、これは宝石じゃないよ。僕は“魔法石”って呼んでるんだけど、魔力の結晶というか…もしものときのために身に着けておこうってなって、それで指輪とブレスレットにしようって…」
「な、なるほど。魔法石?ってのは俺も初耳だが、宝石とは違うんだよな。」
「うん。本物の宝石を見たことはないけど、これは僕の魔力を固めて作ったから違うと思う。」
(なんじゃそりゃ。)
キースは“魔法石”というものの存在自体を知らなかった。マギアである友人ならば何か知っているかもしれないが、魔法方面は門外漢だ。
少し悩んだキースは、魔法石の件は一旦頭の片隅に追いやることにした。
「アルトの言いたいことは大体わかったが…パッと見た感じは金と宝石の高そうなアクセサリーだからなぁ。」
アルトのような子供がこのような高価そうなものを身に着けていると、妙な輩に目を付けられかねない。
かといって、アルトが“もしものときのために身に着けている”と言っていたものを、簡単に外せとも言えない。
「もし作り直せるようなら、服の下に隠せるペンダントにするとか、金ピカのじゃなくて革製にするとか、工夫した方がいいぜ。貴族でもない子供がンな高そうなモン身に着けてっと、トラブルの元になっちまう。」
「うーん…わかったよ!」
アルトはキースの言葉を素直に受け止めた。高そうなものを持っているとトラブルになるらしい。元兄のアーノルドのように欲深い人間は、存外多いようだ。キースがそうでなくて本当に良かったとアルトは思った。
「人間って、なんか色々と面倒なのね。」
素直に返事するアルトと、呆れたような様子のエメラ。彼女の言葉に、キースは苦笑を漏らした。
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