第24話 盛大な勘違い
「それじゃあ、ガルザの処理だけど…一頭はキースさん、じゃなくてキースに渡すとして、後は解体しちゃった方がいいかな?」
「ん?ああ、倒した魔獣はそのままギルドや武器屋に持ち込むことが多いな。解体は難しいし手間もかかるから、できればプロに任せた方がいい。」
「そっか、わかったよ!」
「だが、この量を二人で運ぶのは結構キツイな。持てるだけ…ってなると1頭か2頭くらいだが、それだけ持って後は置いていくしかないか。勿体ねえけど。」
「僕のカバンに入れれば大丈夫だよ。」
そう言われてアルトの持つカバンを見たキースは、目を瞬かせる。
「え?いやいや、そりゃさすがに無理があるだろ。」
キースの指摘はもっともである。アルトの持つカバンは、一見するとガルザの頭ひとつがどうにか入るかというくらいの大きさなのだ。
「このカバン、魔法がかけてあるんだよ。だから、見た目よりもずっとたくさんの物が入るんだ。それに、どれだけ入れても重さを感じないから、8頭全部入れても大丈夫だよ。」
嬉しそうに話すアルトに、キースは驚いて後ずさった。
「おま、それ、マジックアイテムってことか?しかも物が大量に入る上に重さも感じないって…一体いくら積んだら買えんだよそんなモン。」
「マジックアイテム?」
「知らなかったのかよ。つーかアルト、聞いていいのかずっと迷ってたんだが…この際ハッキリさせたいんだ。本当は言いたくないことかも知れないが、正直に答えてくれるか?」
キースの真剣な様子に、ごくりと息を呑んで答えるアルト。
「…わかった。」
「お前、いいトコのお坊ちゃんとかなのか?」
一瞬、キースの質問の意味がわからなくて固まってしまうアルト。
「あー、その…アルトは家や家族のことは話したくないみたいだったから、本当は詮索すべきじゃないってわかってる。だがな、そのマジックアイテムといい高そうな宝石のついた指輪やなんかといい、お前の持ってる何もかもが、どう考えても普通じゃないんだ。」
やはり聞くべきではなかったかと悩みつつも、キースは言葉を続ける。
「もしもアルトが家出した貴族の御曹司とかだったら、俺は知らないうちに誘拐犯扱いされちまうかも知れない。だから、もしそうなら今のうちに教えておいてほしい。」
ここまで聞いて、アルトはようやくキースが盛大な勘違いをしていることに気づいた。
早々とそれに気づいていたエメラは、声を殺したまま空中で笑い転げている。
「違うよ。僕は普通の家に生まれた、普通の子供。家はお金持ちじゃなかったし、その家とも家族とも、もう縁を切ってる。家出したっていうのは、キースの言う通りかな。」
どう考えても普通の子供ではないだろ、という言葉を飲み込んで、キースはアルトの言葉に耳を傾ける。
「キースがマジックアイテムだって言ったこのカバンは、元は普通のカバンだったんだけど、僕が魔法をかけたんだよ。それに、この指輪やブレスレットも、エメラに助言を貰って自分で作って…」
「悪い、ちょっと待ってくれるか。」
右手を挙げてアルトの言葉を遮るキース。
「今何か変な言葉が聞こえたんだが…マジックアイテムを、作ったって?」
「このカバンがマジックアイテムかどうかは、僕にもよくわからないかな。でも、僕が魔法をかけて便利なカバンにしたんだ。」
あまりにも常識外れなアルトの言葉に、眩暈さえ覚えるキース。恐らくアルトは自覚なくマジックアイテムを作ったのだろう、という結論に至った。
「あー、うん。まぁわかったよ。」
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