第23話 冒険者
「僕が、冒険者に…?」
「ああ。どうだ?」
キースの申し出に、しばし考え込むアルト。
正直、キースの話す“冒険者”という存在に興味はあった。
このまま目的もなく、ただ漠然と旅をするというのも味気ない。
それに、自分の力が…自分の魔法でどんなことができるのかを、もっと知りたい。
――となれば、答えはひとつだった。
「…うん。僕、冒険者になってみたいです。」
「よし、決まりだな!」
キースは二カッと笑って右手を差し出す。
「あ、すみません。ちょっと待ってください。旅の仲間にも確認しないと…エメラとテナはどう思う?」
「私は構わないわよ。」
「にゃあ!」
ニッコリと笑うエメラに、元気よく返事をしてアルトに頬ずりをするテナ。
「えっと、テナのそれは“いいよ”ってことなのかな?エメラもありがとう。」
旅の仲間たちが快諾してくれたことに、アルトは嬉しくなった。しかし、一つ疑問が残るのでキースに確認をしておく。
「だけどキースさん、どうして僕と組もうと思ったんですか?いや、僕は助かりますし嬉しいんですけど…それこそ、僕たちは会ったばかりですよね。」
「あー、それはだな……」
キースが挙げた理由は2つ。
1つ目は、アルトが10歳そこそこ(正確には11歳)の少年であり、田舎育ち故に世の中(都会)の常識に疎いから。
ただでさえ希少なマギアなので、悪い大人に騙されたり狙われたりしかねない。
大人であり冒険者の先輩でもある自分がついていれば、そういった危険な輩から守ることができるだろう。
2つ目は、単純にアルトと一緒にいると面白そうだから。
今まで見たことも聞いたこともない魔法を使い、精霊と契約しているマギアの少年。
一緒に冒険者をすれば、驚きと発見に満ちた楽しい旅になるのは間違いない。
――ということだった。
確かに、自分は村でおばば様に教わったことや、エメラに教わったことしか知らない。キースに聞くまでは、魔法の属性のことも、冒険者のことも、ポーションのことも、何一つ知らなかった。
これまでのやり取りから、キースの持つ知識や経験、そして面倒見の良さは折り紙つきだ。彼と組むのは、アルトにとってはいいことずくめだろう。
ちなみに、悪い大人が居たらキースよりも先に自分が気づくと、エメラは少々ご立腹の様子だった。キースと組むことに反対はしなかったが、エメラは少しの間そっぽを向いていた。
「お話はよくわかりました。それじゃあ…よろしくお願いします、キースさん。」
今度はアルトの方からキースに向かって右手を差し出した。
「こっちこそよろしくな、アルト、エメラ、それにテナ。これからはキースと呼んでくれ。それから、敬語もナシだ。仲間なんだからな。」
キースは握手に応えながら、朗らかに笑う。
「わかりまし…わかったよ。よろしく、キース。」
「よろしくね!」
「にゃあ~!」
握手した二人の手の上にテナが降り立って一声鳴いた。エメラは祝福の印にと、周囲に緑の光を散らしながらくるくると飛び回った。
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