表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/188

第19話 テナ

「ところで、ソイツはどうするんだ?」


キースの指差す先には、少し前までアルトの膝の上でスヤスヤと眠っていた黒い子猫…もとい、一角黒豹ホーンパンサーの子供。


先ほど目覚めたようで、今はぐぐーっと伸びをしている。


「あー、この子にも名前つけなきゃですよね。」


「名前?」


「はい。一緒に旅をするなら、やっぱり名前があった方がいいと思うので。」


こともなげに言ってのけるアルトに、キースは頭を抱える。


「そういうことを聞いてんじゃないんだが…つーか、一緒に旅ってどういうことだ?」


「キースさんの心配はごもっともですし、助言には感謝してます。だけど、やっぱりこの子を放ってはおけないので…親を見つけるまでは一緒にいようと思います。」


アルトは真剣な表情で答えた。


「おいおい…本気か?」


「はい、ここにひとりぼっちで置いていくわけにはいかないですし。この子が嫌でなければ、一緒に連れて行くつもりです。エメラはどう思う?」


「私は構わないわよ。旅の仲間が増えると、賑やかになるだろうしね。」


「ありがとう。」


エメラの言葉にほっとしたアルトは、かがんで子猫に視線を合わせる。


「それじゃあ……君はどうしたい?」


「にゃあ?」


アルトの問いかけに、首を傾げる子猫。


「ここに残る?それとも、僕たちと一緒に来るかい?」


「にゃあ!」


子猫は一声鳴くと、アルトの肩に飛び乗った。


「ふふ、決まりみたいね。アルト、その子の名前はどうするの?」


アルトはしばし考えて、ふと思いついた名前を口にした。


「そうだなぁ…“テナ”っていうのはどうかな。」


「にゃあ!」


上機嫌で返事をした子猫――テナは、アルトに頬ずりをする。


「気に入ったみたいね。」


「よかった。僕はアルト、こっちは風の精霊のエメラだよ。よろしくね、テナ。」


「よろしく!」


「にゃあ~!」



「おい、そんな気軽にっ…て、聞いてねーか。」


完全に蚊帳の外になったキースは、アルトたちの様子を見ながら頭をガシガシと掻いた。


「あー、取り込み中に悪いが、そろそろ場所を変えないか?いくらバリアがあるとはいえ、またガルザの群れが戻ってきたら大変だろ。」


「戻ってくる?」


「ああ。アルトが追い払ってくれたらしいが、奴らがこの辺を縄張りにしてんなら戻ってくる可能性が高い。」


「あれ?えっと…言ってなかったでしたっけ?」


「あん?何をだ?」


噛み合わない会話に、アルトとキースはお互いに首を傾げる。


「えーっとね、アルトは“ガルザの群れはもういない”としか言っていないわよ?」


エメラの言葉で、アルトもようやく思い出した。

自分がガルザの群れを倒したことを言ってしまうと、マギアであることも話す必要があるのでは――そう思って、目覚めたばかりのキースには事実を濁して伝えていたのだ。


「あー、そう言えばそうだったかも。処理のことも話さないといけないし、僕がマギアだってことはもう話したからいいかな。」


「おーい、何の話だ?」


「ガルザの群れはもう僕が倒しちゃいました。」

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

ブックマークや、評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援していただけると執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ