第181話 隠し部屋
更新が遅くなってしまい、申し訳ないです。
「どうした?」
こっちこっちと手招きするアルトたちの元へ駆けつけるキースとホルン、そしてレシェンタ。
「ここ、壁の向こうに小さな空間があるみたいなんだ。」
壁に掌で触れながらそう言うアルトと、うんうんと頷く精霊たちと従魔たち。
一見何の変哲もない壁に見えるが、今更アルトの言葉を疑うキースたちではない。
アルトの示した壁とその付近をキースが交互に叩くと、ほんの僅かに周囲のそれとは違う音がした。
壁の材質故か分厚さ故か、そうと知らなければ気づかないほどの微かな違いだったが――間違いなくこの先には部屋らしき空間が存在する。
「なるほど。隠し部屋ってことか。」
「凄い。よく見つけたわね、アルト!」
レシェンタの言葉に、にこやかに首を振るアルト。
「ううん。最初にここの壁を気にしたのはアースとテナなんだよ。僕は一緒に調べてみただけ。」
「へぇ…アースもテナも、サンキュな。お手柄だぜ。」
キースに褒められて、どこか得意げな従魔たち。
「さて、問題はどうやって開けるか…だな。こういうのは大抵、どこかに中へ入る仕掛けやヒントがあるモンなんだが…」
そう言いながら目の前の壁に触れながら調べるキースと、それに倣って壁を観察したり触ったりするアルトたち。
「あ、ここに何か傷みたいなのが…」
そう呟いたホルンの指先がその部分に触れると、壁は溶けるように消え去った。
「!?」
「壁が…消えた?」
「ホルン、何かしたの?」
目を丸くするレシェンタとアルト。
「えっと…傷?みたいな跡が見えたから、よく見ようと指先で擦ろうとしたの。そしたら、急に壁が消えちゃって…」
困惑するホルンの頭をポンポンと撫でるキース。
「きっと“特定の場所に触れる”ってのがカギだったんだろうな。何はともあれ、隠し部屋の扉は開いたんだ。中を見てみようぜ。」
隠し部屋は、クローゼットくらいの大きさの、本当に小さなスペースだった。
その真ん中には様々な動物の彫刻が掘られた台座があり、その上には――石でできたの円盤のようなものが鎮座していた。
「この階はセーフエリアとはいえ、隠し部屋も同じく安全とは限らない。念のため、俺が行くぜ。ホルン、それにアルトも、いい機会だからよく見てろよ。」
「「うん。」」
キースは、こういう部屋に仕掛けられがちなトラップの可能性について、簡単に説明をしつつ部屋の中を注意深く観察した。
「んー、ここにはトラップの類は…なさそうだな。よ……っと。」
円盤を確保して戻ったキースは、それをゆっくりとみんなの真ん中に置く。
「ふー…なんだこりゃ?皿か?」
「ちょっと調べてみてもいいかしら。」
レシェンタの言葉に、頷きを返すキース。
「ああ、頼むな。俺は部屋の方をもう一度調べてくる。」
「アタシも行く!」
やる気満々な様子のホルンに、ふっと笑みを零すキース。
「いいぜ。あー、さすがに狭いから、アルトたちはレシェンタと一緒に待っててくれ。」
「うん、わかった!」
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