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第179話 手紙と依頼

アルトとホルンと精霊たちは、暖炉の前のスペースでアースとテナとじゃれ合っている。

その様子を見て和むギルマスとキース、それにレシェンタ。


この宿の主であるマズルカはというと――今回の件で臨時収入が入ったからと、買い出し(という名のウインドウショッピング)に出かけている。


「ああそうだ、アースのことだけど…魔獣学者のモデスト氏に手紙を出して、意見を求めてみてはどうかな。」


「モデストさんに?」


聞き覚えのある名前に驚くキースに、頷きを返すギルマス。


「そう。魔獣学者である彼なら、僕らよりもずっと魔獣の種類や生態に詳しいからね。僕たちが知らないことや見落としていることにも気づいてくれるかもしれないよ。たしか、面識があると言っていたよね?」


「確かに…あの人なら嬉々として調べてくれそうです。」


そう言って魔獣オタク…もとい、魔獣学者であるモデストの様子を思い浮かべるキース。


「名案ね。彼には精霊たちも姿を見せていたから、信用できる人物なのは間違いないし。」


レシェンタも同意し、うんうんと頷く大人たち。


当事者であるアルトにも相談したところ、アルトは二つ返事で快諾した。



知らぬ名前にキョトンとするホルンに事情を説明しつつ、モデストに手紙を書くことにしたアルトたち。

ただし、手紙は紛失や盗難にあうリスクが多少なりともあるため、内容には注意を払うようにと釘を刺された。


そこで、テイムの上書きや今回の事件に関しては触れず、“大地狐アースフォックスだと思われた魔獣なのだが、どこか違う気がする”という点に重きを置いて書くことにした。



「さて、手紙を出すとなると…返信を待つ間、君たちはこの町にいるんだよね。」


「そう…なりますかね。」


にっこりと笑みを深めるギルマスに、キースは何となく嫌な予感を感じ取る。

“ギルマス”という立場の者がこういう意味ありげな笑顔を見せるときは、大抵面倒ごとを押し付けられるものなのだ。


「数日間手持ち無沙汰な君たちに、おすすめのダンジョンがあるんだ。」


「ダンジョン?」


想像よりもまともそうな依頼に、少し拍子抜けするキース。


「そう。この町から半日ほど歩いたところにあるんだけど、実は未踏破でね。」


「未踏破ってことは、新しいダンジョンですか?」


「ううん…そこまで新しくはないのだけどね。挑戦した冒険者も数多くいるんだけど…どうしてか、いまだに誰も踏破できていないんだよ。」


「というと、出現する魔獣のランクが高いとか、トラップ類がえげつないとかですか?」


眉間に皺を寄せたキースの質問に、緩く首を振るギルマス。


「いいや。あのダンジョンで現在確認されている魔獣は、最高でもCランクのはずだよ。だけど皆口々に“奥の扉が開かない”と首を傾げているんだ。」


「へぇ…」


謎めいたダンジョンの様子に、好奇心をそそられた様子で身を乗り出すレシェンタ。

精霊たちやアルト、ホルンも興味津々なのか、熱心にギルマスの話に耳を傾けている。


「もしBランクの魔獣が出現しても、君たちなら対応できるだろう。踏破時の報酬はこの通り…どうだい?挑戦してみるかい?」


そう言って懐からダンジョン探索の依頼書を取り出すギルマス。


(はじめから依頼する気マンマンじゃないっすか…)


準備がよすぎるギルマスの様子に、手紙の件がなくともダンジョン探索を依頼するつもりだったことを察して苦笑するキース。


(それにしても皆からの視線が痛いな。)


キラキラ…というかギラギラした瞳でキースの方を見つめるアルトたち。その只ならぬ様子に、じゃれあっていたはずのテナとアースまでもがやって来て、アルトと一緒になってキースをじっと見つめる。


「っ…わかった!わかりましたよ!だからお前らもそんな目で見るなって。」


若干投げやりな様子でキースが承諾し、アルトたちは歓声を上げた。それを横目で見ながら、頭をガシガシと掻くキース。


「ったく…ダンジョン探索は遊びじゃないんだぞ。(ま、このメンバーなら大抵の魔獣は敵じゃないんだがな。)」


手紙を出し、探索に向けた準備とレシェンタの用事とを済ませてからということで、ダンジョンへと出発するのは明後日に決まったのだった。



―――翌日、レシェンタは警備隊の詰め所に来ていた。


ギルマスに依頼していた件――押収したマジックアイテムのチェック――のためである。

成長阻害の首輪、魔法の剣や腕輪など…それらを一点一点、入念に見ていくレシェンタ。


そして、彼女はそれらにちょっとした違和感を感じた。


「あら?これ、どこかで……」

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

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