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第166話 森に逃げ込んだ男

「畜生が!なんだってこんなことに…」


男は一人、森の中をよろよろと歩いていた。


「おい、さっさとしやがれ!次はどっちへ行けばいいんだ!?」


……否。正確には一人ではなかった。


「……」


男に急かされ、数歩先を歩く従魔――小さな大地狐アースフォックスは無言で右の獣道へと歩を進める。少しでも鳴き声を出すと、カッカしたテイマーに「うるさい」と怒鳴られるのだ。


魔獣は精霊のような【魔力感知】を使えるわけではない。しかし、音や匂い、空気の流れなどで生物の気配を感じ取ることはできる。そしてその感覚は、一般的な人間のそれよりも鋭敏なのだ。


だからこそ、従魔のテイマーであるこの男――ドウルはその従魔を羅針盤代わりに、逃げ込んだこの森の中を無事に彷徨っていられるのだ。


「ったく、まさか奴隷商あいつらが捕まるなんてな…ドジ踏みやがって。おかげで俺まで逃げ隠れする羽目に…」


彼は数日間の逃亡生活で憔悴していながらも、ブツブツと悪態をつく元気はあるようだった。



薄暗くなってきた森の中で、ドウルの休憩に合わせて消耗した身体を休ませていると、“何か”の接近を感じ取る大地狐アースフォックスのアース。


アースはテイマー(ドウル)を守るため――ではなく魔獣としての本能で、サッと立ち上がり近づいてくる脅威に身構えた。


その様子に気づいたドウルが、慌てて起き上がり逃げようとしたその時――


ガサガサと揺れた草むらの向こうから現れたのは―――アルトたちだった。



「あ。」


「お前…」


「あらまぁ。」


「誰?知り合いなの?」


「……」


それぞれに反応を見せるアルトたち。ホルンは無言でさっとフードを被り、念のためキースたちの後ろに隠れる。

最後尾にいるエメラとコハク、テナも思わず咄嗟に身を隠す。


「ちっ…てめぇらか。」


「よぉ、随分疲れてるみたいだな。よければ俺たちが町まで送ってやるぜ?」


何でもない風を装ってドウルに話しかけるキース。


「ああ、そりゃ助かる……ぜっ!」


バサッ!


「っ!!!!」


掴んだ土をキースたちの方へと投げつけるドウル。


「おい!連中を足止めしてとっととついてこい!」


アースに向かって怒鳴り、どこにそんな力が残っていたのか一目散に駆けていくドウル。


「……!」


土魔法で地面の土を操ったアースは、手早く壁を作ってドウルの後を追う。

読んで下さってありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] ちょいちょい思うのですが、アルトくんが主人公なのに、当人がいる場面でも存在感がないままに自体が動いていく感すごくあって、もう少し描写ほしいなと思うです。 以前きつく当たられているのを見かけた…
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