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第134話 ペザンテのギルマス

「また別室か…もはやお約束だな。」


ペザンテの冒険者ギルドに到着したアルト達は、今回もまた別室に通された。

少し待っているとノックの音がして、一人の人物が入ってきた。


「お待たせしちゃったかな。僕はコーダ。ここペザンテのギルドマスターを務めてる。よろしくね。」


そう言って現れたのは――浅葱色の長い髪を一つに括った、30代くらいの細身の男性だった。

ひょろりとした体格と、細縁の眼鏡をかけたその優しげな容貌からは、一見するととてもギルドマスターを務められるほどの実力者には見えない。


アルト達も簡単に自己紹介をしたところで、ギルマスが本題に入る。


「ゲイリーやガヤルド達から一通り話は聞いたよ。一応、君たちにも確認させてもらえるかな。彼らとは森で出会ったんだって?」


「はい。俺たちはトレモロの町の方から来たんですが――」


キース達が話している間、ギルマスは柔和な微笑みを崩さず、うんうんと頷いて聞いていた。

笑みを浮かべ、机に肘を乗せて唇の前で指を組むその仕草は、どこか中性的な雰囲気を感じさせる。


「なるほど…うん。彼らの話と大きな相違はないようだね。実は、彼らがあまりに興奮気味に話すものだから、要領を得なくて少し困っていたんだ。」


肩をすくめて苦笑するギルマスに、キースとレシェンタは「あー…」と同じく苦笑を返す。


「彼らを救ってくれて本当にありがとう。それから、ゴブリン討伐の件もね。彼らとこの町を預かるギルドマスターとして、お礼を言わせてほしい。」


「ゴブリンに関しては、依頼が出ていたものを横取りした形になってしまって申し訳なかったです。」


そう言って頭を下げるキース。

このことはペザンテまでの道中、ゲイリー達と散々話し合ってきた。


というのも、ゴブリン討伐の手柄の取り合い…ではなく、譲り合いになったのだ。


「依頼を受けたのはゲイリー達だ」と言い張るアルトと、「自分たちは何もしていない、手柄だけ貰うなんてできない」と言い張るゲイリー達。


見かねたキースが仲裁に入り、討伐報酬の2割をゲイリー達が受け取ることで折り合いをつけたのだった。


「ゲイリー達も気にしていなかったから、その点は大丈夫だよ。君たちが事後処理まで済ませてくれたから、ギルドとしては助かったしね。」


「それなら安心しました。ああ、それと…礼ならアルトとレシェンタに言ってください。俺は大したことはしてないんで。」


そう言ってひらひらと手を振るキースに、ギルマスは緩く首を振る。


「そんなことはないよ。解毒や治療も、魔獣の討伐も、そして至らない冒険者の指導も…どれもとても大切なことさ。だからキース、君もありがとう。」


「っ…どうも。」


ストレートな感謝の言葉に若干照れているキースを、ニヤけ顔のレシェンタが肘で小突いていた。

読んで下さってありがとうございます。


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