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第130話 小鬼(ゴブリン)

「見ろ。あれが奴らの巣だ。」


キースの言葉に従い、草むらの影から目を凝らすセイとガヤルド。


「ざっと…四十はいるね。」


「ああ。キースの読み通りだったな。さすがだぜ。」


「どうも。」


小鬼ゴブリン――Eランクの魔獣。

単体ならばFランク相当の比較的弱い魔獣だが、その多くは十~数十個体からなる群れで行動するため、Eランクに位置付けられている。


棍棒や手斧などの武器を使い、畑を荒らして作物を盗んだり、旅人や商人を襲って人間の食料や荷物を奪ったりする。

大きな群れになると、弓手アーチャー戦士ウォリアー将軍ジェネラルなどの呼称で呼ばれる上位亜種も存在する。それらの上位亜種は単体でもD~Eランク相当の強さを有することがあり、注意が必要。



(アルトの【魔力感知】をもとに)キースの発見した痕跡を辿ったところ、ゴブリンの群れを発見した一行。

キースが目算したとおり、およそ四十数体のゴブリンからなる群れだった。


「うげー。弓手アーチャー戦士ウォリアーもいるじゃん。やりづらそうだなぁ。」


「あの…本当にこの人数で行くんですか?」


若干嫌そうな表情を浮かべるメネットと、不安そうなアリア。

数だけを見ればおよそ四十対七。彼女が不安を覚えるのも無理はない。


「ああ、問題ない。」


自信満々でそう言うキースに、首を傾げる四人。


「こっちには凄腕の魔法使いがいるからな。」


その言葉に、四人は納得したような表情を浮かべる。


「なるほど、レシェンタさんの魔法なら、ゴブリンなんてひとたまりもないね。僕らの出る幕すらないかも。」


一連のやり取りにレシェンタは怪訝な顔を見せるが、キースは素知らぬ顔で話を続ける。


「で、だ…アルト、最初の一発は頼むぜ。ゴブリンの討伐証明は左耳だから、消し炭にはしないでくれよな。」


「わかった!」


笑い交じりのキースの言葉に、クスリと笑みを漏らす四人。


(なるほど、余裕をもって撃てる一発目は、駆け出しのアルトに譲るってことか。)


「僕らがサポートするから、遠慮なく撃ってね。」


「うまく当たらなくても、逃げたゴブリンはちゃんとアタシらが仕留めるからさ。」


「そうだぜ。思い切りやってみろ。」


「私たちがついていますから、安心してください。」


先輩として、口々にアルトを励ます彼ら。その様子を見てニヤニヤと笑みを浮かべていたキースは、レシェンタに小突かれている。


「うん!みんな、ありがとう。テナ、危ないからカバンに入っててね。」


「にゃあ!」


「それじゃあいくよ……【魔力感知】……よし、【村雨氷柱】(むらさめつらら)!」


パキィン……ドドドドドドド!


轟音と共に、数多の氷の刺がゴブリンの群れへと降り注いだ。

数秒の後には、ゴブリンの群れは全滅していた。よく見てみると、一体につき一本ずつ、きれいに氷柱が刺さっている。それを見たキースはあまりの光景に舌を巻く。



「相っ変わらず…いや、前にも増してとんでもねえな、アルト。」


「入り組んだ森の中だったから、炎はまずいかなって思ったんだ。それに、適当に撃っちゃうと討伐証明が難しくなるかなって思って。」


こともなげに言ってのけるアルトと、それに釣り合わぬ目の前の光景を見比べ、息を呑むキースとレシェンタ。


「確かに、ここで炎魔法を選ばなかったのは正しいわね。それに、魔獣の傷も最低限。ゴブリンの素材が売れるかはわからないけれど…上出来も上出来。さすがアルトね!」


アルト達三人の会話が耳に届いているのかいないのか…放心状態の四人は未だに揃って目を見開き、口をあんぐりと開けたままでいるのだった。

読んで下さってありがとうございます。


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