表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/188

第118話 封筒と本


翌日――

言われた通りに冒険者ギルドを訪ねたアルト達は、ギルマスの執務室へと通された。


「よう来たの。それで渡したいものじゃが…それじゃ。」


ギルマスが杖で示した机の上には、一通の封筒と一冊の本が置かれていた。


「封筒の方は、紹介状じゃ。ここから街道沿いに進んで3つ先にある“ペザンテ”という町…そこにわしの知人のテイマーが住んでおる。話は通しておくから、訪ねてみるといい。」


「わぁ、ありがとうございます!テナ、他のテイマーさんに会えるんだって。これで僕もテイマーらしくなれるかな?」


他のテイマーに会えると知って、大はしゃぎのアルト。

年相応の姿を見せるアルトに目を細めていたギルマスだったが、軽く咳払いをして話を続ける。


「それから、本の方じゃが…それは“賢者の魔導書”じゃ。」


「えぇ!?」


驚きの声を上げたのはレシェンタだった。彼女は驚愕の表情を浮かべ、ギルマスと魔導書とを何度も見比べている。

キースも精霊たちも、勿論アルトも、何のことかわからずキョトンとして首を傾げている。


「アルトや…そっと、魔導書それに触れてみなさい。」


レシェンタが何かを言おうとしたが、ギルマスがスッと手でそれを制する。

ギルマスに言われた通り、アルトはゆっくりとその魔導書に手を伸ばした。魔導書にアルトの指先が触れると、触れた箇所がポゥッと淡く光った。


その様子を見て、レシェンタがはっと息を呑む。


「上々じゃ…それでは、手に取って開いてみなさい。」


何が“上々”なのかはよくわからなかったが、魔導書を手に取って最初のページを開くアルト。


「何が書いてあるか、読めるかの?」


「は、はい。読み書きは一通り教わったので。えっと…“汝を……魔導の賢者と認める”?」


その様子を見て満足気な笑顔を浮かべるギルマスと、目を見開いて驚くレシェンタ。


「以前わしが使っておったものじゃが…譲る相手が見つかってよかったわい。ああ、もう閉じて大丈夫じゃ。上手に使いなさい。」


「は、はい。ありがとうございます!」


「あの…失礼を承知でお尋ねしますが、これは本当に本物の“賢者の魔導書”なのですか?」


おずおずと質問をするレシェンタに、ギルマスは嫌な顔一つせずに答える。


「もちろんじゃとも。試しに、君が触れてみるかね?」


「え…」


ギルマスからの提案に、目を丸くするレシェンタ。


「なぁに、指先だけそっと触れる程度じゃ。それなら、大ごとにはならんじゃろう。」


「わ、わかりました。アルト、ちょっといいかしら。」


「うん、いいよ。」


ゴクリと喉を鳴らしたレシェンタが、そうっと人差し指の先で魔導書に触れると――


「っ!!!」


バチッと音がして、()()にレシェンタの指が弾かれた。

まるで、“賢者の魔導書”が触れられるのを拒絶したかのように。


「え?今のって…」


「資格のない者――所有者以外が“賢者の魔導書”に触れようとすると、こうなるのよ。」


弾かれた指先をじっと見つめ、やっぱりねと苦笑するレシェンタ。


「魔力量が足りていれば触れるくらいはできるらしいんだけど…私は足りなかったみたいね。これは本物で間違いないと思うわ。」

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

ブックマークや評価、いいね等で応援していただけると執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ