第100話 問題解決?
大人たちの気苦労など知らず、再び小さくなった従魔を高い高いして笑いかける無邪気なテイマー。
「テナ、凄いね!いつの間にこんな魔法を覚えたの?」
「にゃあ?」
アルトの問いに、かわいらしく小首を傾げるテナ。そしてそれを見て同じように首を傾げるアルト。
「えっと……それって魔法なんだよね?」
「にー…にゃう!」
「やっぱり魔法なんだね!凄いや!」
元気いっぱいに返事をするテナを再び高く掲げ、くるくると回って喜ぶアルト。
「小さなテナもかわいいけど、大きくなったテナもかっこよくて素敵ね。わたし、どっちのテナも好きよ。」
「僕もそう思う!」
「ふわふわとツヤツヤ…どっちも、好き。テナ、いい子。」
テナが魔法で小さくなったことを、すんなりと受け入れる精霊たちとアルト。
一方、大人たちはというと…
「なあ、一角黒豹ってあんなことできるモンなのか?」
「初耳よ。というか、他のどんな魔獣でも聞いたことがないわ。自分の意志で幼体の姿になるなんて。」
もう驚き疲れたのか、どこか達観した様子のレシェンタ。
「だよなぁ……規格外なとこが主人に似ちまったか。」
「え?」
「いやな、子供は親に似ることが多いだろ?だから、従魔もどこかテイマーに似ちまうのかと思ってな。」
「ん-…あるともないとも断言はできないわね。私は従魔やテイマーに関してはそんなに詳しくないけれど…もともと波長が合うからこそ、従魔契約が結べるのかもしれないわよ。」
「あー…なるほどな。もともと似てるのか、従魔になったから似たのか…ま、小難しいことはいいや。そもそも、アルトには常識はあまり通用しないんだからな。」
そう言って会話を切り上げるキースに、レシェンタがむっとして頬を膨らませる。
「ちょっと、あなたから振ってきた話でしょう?」
「そうだったか?」
そうこうしている間に、ひとしきりテナを撫でまわしたアルト達が戻ってきた。
「ねえキース、これで問題は解決だよね。早く戻ろうよ!」
「あ、ああ。そうだな。」
問題は解決―――たしかに“大人の一角黒豹を連れて帰る”という問題は解決した。しかし一方で“成体から幼体へと体格を変えられる、規格外な魔獣(従魔)の存在”という新たな問題が発生したのだが、それはアルトの知るところではなかった。
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