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一時帰宅

5月も末、戦争が激化する中麻衣に2日のみ休日が与えられた。

 

麻衣は一ヶ月ぶりに母に顔を見せる事になる。

ちょうどこの頃沖縄では激戦が繰り広げられアメリカ軍がようやく動き出した。

日本が攻撃されたこと、自軍の基地が攻撃されたことでようやく日米安保条約が発動した。

5月27日中国、北朝鮮、韓国、第二ソビエト連邦に宣戦布告をした。

 

札幌駅が破壊されている為苗穂、白石駅ですべての列車が停車するようになった。

そこから各場所への直通バスも設定された。 


一時間後… 


一ヶ月ぶりに見る故郷…道路に転がっていた瓦礫はなくなりまた南北線も大通までは

復旧し実質札幌市の中心路線となった。

 

建物の復旧作業も始まっており被害を受けた建物は建替えを行っていた。

陸軍の基地からは音楽が聞こえ兵士達が行進していた。

 

家に帰ると先月まではいなかった人がいた。

 

「麻衣、おかえり」

 

「お、お父さん!? もう大丈夫なの?」

 

「ああ、退院していいとさ、あとはたまに薬をもらいにいくだけさ」

 

「よかった…」

 

麻衣の父の怪我が完治ではないがよくなったらしく元気そうな顔で家にいた。

 

「あら麻衣、お父さんがいてびっくりしたでしょ?」

「もう 心配したんだから」

 

「ハハハッ でもお父さんも心配してたんだぞ」

「なんたって麻衣はお国の為に大空で戦ってるらしいからな、

 まったく今までの麻衣からは考えられないぞ」

 

「だって誰も死なせたくないんだもん!」

 

「ハハハッ それはそうだ、俺も友人を失った、

 だがな麻衣、戦争は必ず一人死ぬ、しかし麻衣達の活躍があったからこそ

 北海道は今だ日本だし俺たちも生きている」

 

「ありがと…お父さん…」

 

麻衣はとてもうれしかった。

またあの時市街地へ遊びに行ってから見てなかった妹の愛も何事もなく元気だった。

 

夜、久々に家族そろっての晩御飯。

 

「ところで麻衣、飛行機は操縦できそうか?」

 

「やだなぁお父さん、もう私実戦で戦ってるんだよ」

 

「ハハハッ そうなのか? お父さんもかつて航空自衛隊にいたんだが

 練習機ですら乗せてくれるまで時間がかかった」

「どうやら麻衣は坂井三郎を超える撃墜王になりそうだ!」

 

「さかい…さぶろう?」

 

無論麻衣が知るはずもない。

坂井三郎とは大日本帝國海軍の撃墜王である。

戦争中盤頃からは怪我で右目の視力を失うもグラマンF6Fヘルキャット15機と戦い

逃げ延びたり夜中真っ暗な海で何も見えない状態だというのに基地に帰還したりと

多くの伝説を残し敵を64機も撃墜した。

9年前まで存命しておられた伝説的なパイロットである。

 

「本当なら俺も実戦で戦いたかった

 国の為に、愛する者の為に」

 

父は後悔気にそう言う。

 

「それがいきなり大怪我させられるなんて、娘は戦ってるのに情けない男だな俺って」

 

ちょっとしょんぼりしている。

それまで明るかった雰囲気が一気に悲壮へとかわっていく。

麻衣も気まずくなった…

 

「お父さん、お父さんは情けなくないよ」

 

「本当か?」

 

「お父さんが情けなかったら私お父さんを尊敬してないなもん」

 

もちろん麻衣は昔っから父を尊敬していた、だが今はその時以上に尊敬している。

それは父が元航空自衛隊の隊員だということ、つまり麻衣の大先輩であるからだ。

 

「情けない人は飛行機乗りになれない、たとえ戦ってないとしてもお父さんは

 すごいよ、限られた人しかなれない職業についてたんだもん、

 今普通の会社員だってその歴史はかわらないんだよ?」

 

「そうだな、よし! 久々に食うぞ! おかわり!」

 

「あんまり食べて運動しないと太りますよあなた?」

 

「今日ぐらいは平気だぜ!」

 

再び明るい雰囲気になった。

麻衣は家が大好きである。

この幸せをずっと味わいたい。

だからこそ麻衣は戦うのであった。

 

 

翌日、昼ご飯を食べた後麻衣は基地へ帰った。

今度は夏に来ると約束したのだった。

 

6月に入り北海道はだんだん暖かくなる頃、麻衣は再び激戦を経験する。




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