北区石狩川攻防戦【後編】
なぜだろう?
始めての飛行で見事にF-15を操縦する麻衣。
しばらく飛行しているとやけに都会になってきた、そして次第に街は荒れていった。
そう、空襲で市街地がほぼ壊滅してしまった札幌だ。
大通公園には難民が集まっているらしい。
また食糧確保の為市民同士で殺し合いが行われていた。
道庁も市役所も被害を受けた札幌は荒れ放題だった。
それどころか道庁もぶっ壊されてしまったので道内も混乱状態だった。
自分の故郷がこんなになってしまった様子を見て麻衣は涙すら流していた。
涙をふき真剣な顔になった瞬間山梨機から無線がはいる
「敵は護衛戦闘機も連れている、気をつけろ!
あと地対空ミサイルにも注意するんだ!
わかっていると思うが回避にはフレアを撒くんだ!」
どうやら敵の爆撃隊は護衛戦闘機もつけているらしい。
初飛行にして初陣にしてさらに始めての戦闘機vs戦闘機の空中戦を体験することに
なってしまった、麻衣にとっては不利である。
とりあえずは山梨に返答する。
「はい!」
地上を見ると大激戦であった。
しかし日本側の損害が目立つようになっていた。
なぜなら爆撃隊の攻撃はすでに始まっていた。
地上の91式携帯地対空誘導弾も多少やくになっているものの効果はあまりない。
現在日本軍は戦力を北に集結させようとしており北海道・東北の戦力を札幌、稚内、根室へと
送り始めた。
援軍がくるまで予想ではあと3日ほどである。
しかしこのまま空からの攻撃が続けば3日もたたずに第11師団は壊滅してしまう。
そこで航空兵力による援護が必要なのである。
麻衣はまず索敵を開始した
「う〜ん」
「見つけた!」
護衛の戦闘機はsu-27、
ソ連が設計、開発しソ連をはじめとした各国で運用されている戦闘機だ。
ソ連の戦闘機としては高性能でうまい人が乗ればF-15ともまともに戦えるらしい。
「なにあれ!? 新しい戦闘機?」
麻衣は軍人でもそういった事は無知であるため敵の戦闘機がなにであるかが
わからなかった。
「気をつけろ中根! ソ連はパイロットに鬼訓練をしているらしい。
根性でこちらと互角に戦うかもしれないぞ!」
実際にsu-27とF-15は模擬空戦で戦いsu-27が勝った…という話があるが
これは虚偽であるとの情報があり確かではない。
ただし強い機体であることにはかわりない。
麻衣はとりあえず右旋回を行う
「…」
アッサリと敵の後ろにつくことができた
「なんで? なんで私がこんなことできるの?」
二機の戦いは激化し次第に格闘戦へとなっていった。
山梨はそれにとても驚いたのであった。
「まさか中根の奴が初陣にして初飛行なのに敵と互角に戦っている」
「隊長! 敵戦闘機はあの8機に撒かせて我々は爆撃機を攻撃しましょう!」
敵爆撃機はプロペラ機であるためミサイルが命中しない。
そのため機関砲で攻撃するしかなかった。
隊長機は即座に爆撃機の後ろにつき巧みに敵の攻撃を交わしながら機関砲を放ち
敵を一機撃墜。
山梨は次々と爆撃機を撃墜していく。
「御国の為に死んでくれ!」
ブオォォォォォオ
機関砲の音が鳴り響く。
一方麻衣は、
「えっ…えっと! えい!」
ボォ!
ドガァァアン!!
「へっ?…」
敵戦闘機1機撃墜に成功したのであった。
「やっ…やったぁ!」
「私にもできたよ!」
しかし!
ブオオオ!!!
「あっ!!!!」
敵の機関砲が翼に命中したのであったが…
「よかったぁぁぁたいしたダメージじゃなさそうね」
普通に飛行は可能な程度であった、空中戦をするにもなんの支障もなし。
一方地上では-
「おおお!」
「がんばれよー!」
「俺たちもいくぞー!!!」
兵士達は笑顔でその活躍を見守りそして闘志をわけてもらってた。
高野中将も彼らが大空を舞う姿を見て感動していた。
「立派だ、立派であるぞ」
「空軍の活躍…我感謝する」
「皇国は永遠に不滅なり!」
「この分だとあと3日もちそうですね」
「ああ、空軍には感謝せねばならない」
・
・
・
激戦の末第11師団は3日間持ちこたえた。
4回出撃のうち損失は2機のみという、まさに精鋭パイロットがそろった空軍であった。
しかしこの戦いで惜しい男をなくしたのである。
山梨健志…享年36
敵の戦闘機数機に狙われ機体にかなりのダメージを負う。
帰還不可能と判断した彼は敵爆撃機に体当たりを行った。
彼は軍神として扱われるようになった。
一方麻衣はパイロットとしてみるみる上達していった。
5月2日、ソ連軍札幌、石狩から撤退。
5月8日、稚内から撤退
5月10日、根室から撤退
だが5月5日、ソ連、中国、北朝鮮軍が沖縄へ、5月6日韓国軍福岡に上陸。
北海道を守りぬいたぐらいでは戦争は終わるわけがなかった。
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