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狂気と共に異世界転移  作者: 二式山
三章 王都イアエラ
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第五十五部 昼食会


 もうすぐで昼になるが、ノーステール公は、関係者との話がまだ終わらないらしい。


「とりあえず子爵たちとの食事だな」


 ジャンは、近くの者にアルランたちを呼ぶよう伝えた。


「俺等も移動しようか」


 流永は、ジャンに連れられて少々大きめの部屋に移動した。

 そこには、部屋の真ん中に大きな長テーブルがあり、コックやメイドが様々な食事を並べている最中であった。


 やがて、料理が並べ終わり、アルラン達も来た。


 彼が連れているのは、以前流永があった時にいた、ミレーヌとシャルと呼ばれた少女、あと鳥頭。

 そして、服装は他と相違ちがいないが、アルランに対し従者のごとく控える少女一人。


 彼等はジャンへ、お招き下さり……と型通りの挨拶をした。


「立食?」


 流永は首を傾げた。

 てっきり座って食べるものかと思っていた。


「ああ。元々はもう少し北の風習だったが、コレは良い、何より気楽だ」

「ああ、そう」

 流永はそっけない返事をした。

「しかし……、この人数にしちゃ、豪勢だね」


 この部屋に集まったのは、アルランと友人四人、流永とジャン、計六人のみ。

 部屋には、テーブルクロスの敷かれた長テーブルが三つあり、その上には様々な食器に種類選ばず盛られた数々の料理があった。


「いや、アドリーヌの奴も来る。……まあ、元はじいさん達も来るはずだったんだがな」

「なるほど」


 この豪勢な料理たちは、ノーステール公のためだったらしい。だが、やることが長引いて来れなくなり、人数にしては不相応な食卓となってしまったようだ。


「で、君の嫁さんは?」


 流永は、くるくる辺りを見回した。

 アドリーヌは未だ来ていない。


「さっき使いをやったからな、もう来るんじゃないか?」

 と、その時、噂をすれば何とやら。


 ドンッと扉が開き、

「遅れましたわッ!」

 白いドレスを着たアドリーヌが現れた。


「おう、来たか」


 ジャンと流永は、やっと来たかと視線を動かしただけだったが、アルラン達は、その豪快な登場に驚いたのか、皆一様に息をのんだ。


 アドリーヌも、ジャンたちの他に先客がいたとは思わなかったようで、辺りをキョロキョロ、身体を揺すらせ、ぎこちなくもドレスの端を持ち、頭を下げて挨拶をした。


 アルラン達も驚きつつも、型通り挨拶を返した。


 アドリーヌは頭を上げると、足早にジャンのそばに寄り、耳元へ小声で、


「ちょっと、あなた達の他にいるなんて聞いてないわよ」

「俺は早く来いとしか言ってないからな」

「な……ッ」

「別にいいだろ、今に始まったことじゃなし」

「もうっ」


 ジャンはケタケタ笑い、アドリーヌはふくれた。


「なあ、王子様」

 と、そこへ、流永が口を上下に動かしながら、ジャンに近寄った。


「アルラン子爵って偉いの?」

「まあ、そうだな。子爵というより侯爵だがな」


 ジャンは、ものを食べながら話す流永に、若干顔を歪めながらも説明してやった。


「ああ、そう」

 流永は納得したように頷いた。


 このルートレイグでは、公侯伯いずれかの爵位を持つ家の嫡子は子爵を名乗ることになっている。

 故に、この国に子爵単独の爵位はない。

 流永は、以前学校で習ったことをおもいだした。


「俺も殿下殿下と呼ばれているが、身分上は子爵だ」

「うん」


 聞きたいことがなくなったのか、流永は再び口を動かし始めた。

 ジャンは苦笑した。


「……しかし、豪勢な食事ですねッ」

 と、ミレーヌが話しかけてきた。


 そばには、シャル(シャルロッテ)と鳥頭ことエルランがいた。

 それぞれの手に在る皿には、すでに様々な料理がのっている。

 アルラン子爵は、少し離れたところで、黙々料理を取り分けていた。


「ええ、様々な食材を使っていますから。……ただ、ノーステール公も来る予定でしたので、少し多すぎたようですが」


 ジャンは、少し困ったふうに笑った。


「殿下、今回はお招きありがとうございますッ」

 と、いったのはシャルだ。

 彼女は、背が低い。

 また、三つ編みおさげを垂らし、目元口元に未だ幼さがみえた。


「いえいえ、私の連れが迷惑をかけたようで」

「そんなことはないですよ。弟みたいでしたよ」


 と、ミレーヌが首を振った。


「あっははは、それはそれは。随分と手が掛かったでしょう」

「まあ、ええ。かわいいものですよ」


 ジャンとミレーヌ達が談笑する間、それを側から見ていた流永は、アドリーヌの袖を引っ張り、


「ねえ、迷惑だって」

「まあ、迷惑したことはないですけど、貴方は手は掛かりますからね。同じようなものでしょう?」

「あははっ、そうかもね」


 流永は、機嫌が良いようで、ニコニコ笑顔であった。



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