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狂気と共に異世界転移  作者: 二式山
第一章 異世界転移と老人
13/57

余談 世界のこと 

 

 

 依然、流永は山の中の老人宅で魔術や体術などの修行をしている。


 この年。こちらの世界ではルキス歴1356年となる。

 この暦は先に老人が語ったジファクト・ケルフィリスと神陣営との戦争の終末から数える。隣の大陸(エルフなど異種族が棲む)もこの戦争を起点としてルキス教が一神教になったのでこれを紀元としている。それ以前は紀元前。


 すなわち、戦争終結から1356年経っている。

 その間、大陸はルキス教を主とする国がほとんどになった。例外として大陸の最北の辺りや異種族の一部は他宗教を奉じている。

 又、宗教間でも動きがある。

 ルキス教から分派が現れた。

 彼等は今までの教義に疑問を感じ、大恩正義派、一点派に分かれた。大恩正義派は893年、一点派は559年にうまれた。

 元々あったルキス教は、これらとの差別の為ルキス正教と呼ばれる。

 流永がいる大陸の南部がルキス教一点派を主とし、大陸上部(北部)を大恩正義派が占めている。ルキス正教は中部。ただ、中部といっても広大でいくつか一点派、大恩正義派を主とする地域もいくつか点在している。

 宗教の変遷もあるが、国の変遷もある。こちらは宗教よりも凄まじい。

 戦争終結後、大陸は神陣営として戦ったダイタールト王国を中心にして、いくつかの小国が分立する状況になった。

 その後ダイタールト王国も滅亡し今に至る。


 さて、今度は流永のいるルートレイグに目を向けてみる。

 老人がこの国が近々潰れるかもしれないと前にいった。

 間違ってはいない。

 この時代、王の権力はそこまで強くないが、隣国との戦争や、近年、時々起こる飢饉によって、ルートレイグは情勢不安に陥り、また飢饉が起きても税金は変わらない為、各地の百姓は貧困に喘いだ。

 彼等百姓は、このままでは飢え死にしてしまうと、各地の村々は団結し、この情勢下で不穏な空気を見せている。

 かといって極端な政情不安になったわけでもなく、流永が行ったあの街のように、別段世が乱れているという観はない。

 ただ、あの街は交易の中継地点として栄えたので、飢饉などと元々関係が無いともいえるかもしれない。

 最後に。

 この大陸の北部の大部分はゲンヘルファクという大帝国の領土となっている。

 最近、この帝国は南下政策に積極的であり、ここ数年で併合された地域がいくつかある。

 国の情勢不安。大帝国の南下。農民の団結。

 今は未だ平穏だが、時代は激動の時期に入っており、やがて、それは流永の身辺にまで、驟雨の如く突然降りかかってくるだろう。

 しかし、当の流永はそんなことは知ることなしに、老人から魔術などの教練を受けていた。


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