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第9話 とあるチャット・1

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

Sub : たすけて〜!

from : UTA

to : AVI

in : UTA, AVI


UTA[たすけてください]


AVI[【サポチャ】から呼びかけないでよ、びっくりするじゃん!]


AVI[で、一体なに?]


UTA[えっとね、一ヶ月ぐらい前にリエスラに初心者が来たの]


AVI[へぇ、R2じゃないなんて珍しい]


UTA[でしょう? それで舞い上がっちゃって]


AVI[舞い上がった?]


UTA[キャラメイクが終わった時点でリエスラに入れちゃったの]


AVI[は?]


UTA[まともなチュートリアルもせずに、そのまま転移させちゃって]


AVI[うわぁ、クレームものじゃん。うちならその場でGMコールするわ]


UTA[私もそう身構えてたの。でも、ここ一ヶ月、一回もそのユーザーからのお問い合わせがなかったの]


AVI[んん?]


UTA[おかしいなーと思ってログをあさっても、ログインログアウト以外のシステムログが拾えなくて]


AVI[はぁ?]


AVI[まって、つまり、そのご新規さんはGMコールもせず、スキルを一度も使わずに()()()()()で生き残ってたってこと?]


UTA[あんな世界なんてひどいなー。でも、そういうことなのよ]


UTA[そして、一週間前に初スキルを使用してくれてね、やっと詳細ログが取れたの]


AVI[チュートリアル無しだとそんなに遅くなるものなのね]


UTA[ただ、そのスキルが……勇なる一撃(ブレイブストライク)なの]


AVI[……あれ、あいつ、【勇者】の【ジョブエレメンタル】をその新人に横取りされたの?]


UTA[ううん。あのエレメンタルと【勇者の剣】はまだ『彼女』さんと一緒に遺跡の中だから、絶賛探索中]


AVI[熱心なことで。妬けるわー]


AVI[……っていやいやいや、何が起こってるの一体]


UTA[謎だよね?]


AVI[調べなさいよ、仮にも運営でしょうに]


UTA[もー意地悪言わないで。【世界樹】失った時点でそう簡単に行かなくなったの、知ってるでしょ]


AVI[もちろん、よぉぉぉく、ね]


UTA[その節は大変申し訳なく思っております]


AVI[あの大やらかしのせいで、リエスラは今なんて言われてるか知ってる?]


UTA[あーあーきこえませんー]


AVI[聞こえるように言ってあげるわ。【放棄世界】よ、英語で言うならアバンダンドワールド!]


UTA[英訳までするなんて、しつこひどい!]


AVI[そりゃそうなるわ。今のリエスラの同時接続人数、千人も行ってないでしょ?]


UTA[え、ひゃくま……]


AVI[全体接続人数を教えなくていいから]


UTA[ごひゃくさんじゅうににんです]


AVI[思ったより少なかった! どこのサービス終了間際のMMORPGよ!]


UTA[いいんですー、R2さえ軌道に乗ってたらリエスラは安泰ですし]


AVI[ほんと、この運営は]


UTA[とか言っちゃって、そっちもセカンドキャラでR2を楽しんでるでしょ?]


AVI[うぐ]


UTA[お陰であなたの『国』もてんやわんやですよ?]


AVI[だって……肩書きに縛られず自由にプレイ出来るのって、六、七年振りよ? 楽しくないわけがない]


UTA[あー、だよね]


UTA[とはいえ、【特異点に至りし者】であり弊社認定の【レジェンド】であるあなたは、契約に則りGMのサポート要請を断ることは出来ないのです]


AVI[くっ、この鬼運営ぃ……]


UTA[こちらのサポート依頼は、『新しい特異点候補』に、この世界のいろはを教えること、以上です]


AVI[……なるほどね。分かったわ]


UTA[じゃあ、よろしくね〜]


AVI[あ、あと三日くらい後でいい?]


UTA[えっ?]


AVI[闘技場イベントが終わるまで、あの勇者(バカ)をできる限りの回数ぶん殴ってくる]


UTA[あー、ご愁傷さまです……レプリカの勇者さん]


ヒロインが出るまでに数万字かかるWEBライトノベルがあるらしいぜ!

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