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小料理 タヌキ屋 2  作者: まんまるムーン
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 まずクローゼットを開けた。今まで気にもしなかったけど、もう何年も来てない洋服がギュウギュウ詰めになっている。しかも皺くちゃだ。全部出してベッドの上に広げた。


 一枚一枚見ていくと…捨てられなくなってくる。値段が高かったり、思い入れがあったり…

 いや、ダメだダメだ! そもそもこの服を買った時と流行も違えば、自分の体形だって変わってる。


俺は容赦なく、ずっと着ていない服を処分した。


 自分が変わるには、何事も痛みがつきものなんだ!


残しておく洋服は、いつでもすぐ着られるように、キレイな状態にしたいと思った。そして皺だらけの洋服に片っ端からアイロンをかけた。Tシャツにまでかけた。


 なんてことだ!

 普通のTシャツでもキチンと手入れすれば、よそ行きになりそうじゃないか!


そしていつの間にか溜まった大量の紙袋! 紙袋と同じく、自分でも何故これだけ大事にとっておいたかわからない靴の箱! それらだけでもかなりの量だった。全部まとめて処分した。



 服や物を処分して、中のホコリを取り、壁を乾拭きして床を雑巾がけした。十分乾燥させてから必要な物だけど戻した。そしてクローゼットの片づけは終わった。


 こんなにガランとしたクローゼットは、入居した時以来見たこと無かった。


 処分して改めて気づいたけど、実際に稼働している洋服って、ごく僅かだ。

 今や、洋服の間に風が通る。


 何て爽やかなんだ! 


 クローゼットがスッキリ整頓されると、ごちゃごちゃの棚が気になった。棚は二つあって、一つは本棚で漫画がびっしり、横にも縦にも積み上げられている。もう一つの棚は不揃いの箱に薬や日用品などがごちゃ混ぜに入って置いてある。


積み上げられた漫画は、もうずっと読んでなかったのもあって、ホコリが溜まっていた。一つ取って開いてみると


 ギャーーーーー!


砂みたいな小さな虫がたくさん中を這っていた!


 思い入れはあるけど…もう処分しかない…


クローゼットの中に溜まっていた紙袋に漫画を入れていった。全部出した。そしてとりあえず本棚にも漫画にも殺虫剤をまいた。


 こんな中で俺は生活していたのか…


思い出すだけで体中鳥肌が立つ!


そして隣の生活用品がごちゃごちゃだった本棚も、全て分別して、本当に必要な物だけ残してあとは処分した。本当に必要な物は、棚二つ分にもならなかった。いかにいらない物に囲まれて暮らしてたという事を実感した。



そうやって部屋中のゴミを出していったら、とんでもない量になった。


ゴミ出しの日を待っていたら、いつまでたってもゴミの中で暮らしていかなければならない…。俺はネットでゴミを出せる所を調べた。そして、市がやっているゴミ処理センターに自分で持ち込める事がわかった。


何度も部屋と地下の駐車場を行き来して、ゴミを車に詰め込んだ。

殺虫剤で死んでいるだろうけど、本に付いた小さな虫たちの事を考えると、後で車も大掃除しなければならないと痛切に思った。


結局ゴミ処理センターへは二往復した。

家じゅうのゴミが無くなると、なんとも言えない爽快感があった。


 何なのだろうこれは!


 したことないけど滝行した後ってこんな感じなのかも!





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