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小料理 タヌキ屋 2  作者: まんまるムーン
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「昔から…俺と付き合う女の子は…おかしくなっちゃうんですよ…」


思い返してみれば、いつも同じパターンだった。もともと家庭的な子が好みだった。そして一緒にいて楽しい子と付き合いたいと思っていた。


付き合ってしばらくは、本当に楽しい日々が続くが、半年くらいたつと女の子たちは変わっていった。皆、一様に不機嫌になるのだ。この間別れた元カノもまさにそうだった。


自分より年下と付き合うことが多かったから幼稚な嫉妬をするのだと思って、次に付き合うのなら、大人の女性と付き合おうと決めていた。そして理想だと思えた三つ年上のその元カノと付き合うことになった時、俺は本当に嬉しかった。やっと出会えた、そう思っていた。


しかし、やはり元カノもそうではなかった。最初の頃は、仕事で遅くなったり友達や会社の飲み会なんかも、笑顔で大人の対応をしてくれていた。やっぱり年上はいいなと思っていた。


だけどそれもつかの間、そのうち飲み会や残業も嫌な顔をするようになり、男友達との約束ですら、だんだんと文句を言うようになった。そしてあろうことか、浮気を疑われるようになった。


そんな風で、何もかもが楽しいと思えなくなっていった。こんなに疑っている彼氏と一緒にいたいと思う元カノの気持ちがわからなくなってきた。


 年齢が年齢だから、結婚を焦っている?

 だけど…自分の目が届かない所にいると浮気をしていると思っているような男と結婚したいか?

 結婚って信頼関係の上に成り立つ物じゃないのか?

 そんなに嫌なら他の男を探せばいいじゃないか!   


正直俺も、彼女と付き合い始めて初めて結婚を意識した。そのつもりで付き合ってきた。だけど結果といえば…スマホにGPSをしこまれた。…俺の中で彼女との結婚は無くなった。


「浮気を疑われるような事したんじゃないの? というか浮気そのものをした…とか…」


「そんなことないですよ! 結婚まで考えてたんだ。そんなバカな事するはずがない! それに俺、そんなにモテないですよ…」


「…でしょうね…」

タヌキ女将は俺の目をじっと見て、深く頷いた。


そこは嘘でも「そんなことないわよ、あなたなかなか魅力あるわよ!」とか言ってくれ!

客商売でしょ!



「俺ね、登山が趣味なんですけど、付き合う前に彼女と趣味の話をしてたら、彼女も登山が趣味って言っていたんですよ。それで話が盛り上がっちゃって、最初の頃はよくデートで登山に行っていたんです。でもだんだん行きたがらなくなって、最近では休みの日っていったら家でゴロゴロテレビ見てるだけ…。最初の頃は家デートの時は凝った料理を作ってくれたりしてたんだけど、それもカップラーメンになって…。今思えば…ほんとは登山も料理も興味無かったのに、俺の気を引きたくて嘘を言ってたのかも…って思えてきちゃって…」


「全く興味無いのに無理して合わせてくれるなんていじらしいじゃない。」


「まぁ…いじらしいと言えばそうかもれしれないけど…。でも結婚を考えている相手だったら、どっちか片方が無理しなくても、お互いがありのままで居心地いいって思える関係じゃないと続かなくないですか? 俺ね、結婚相手には共通の趣味を持っている人がいいと思ってるんですよ。結婚生活って長いでしょ。ずっと一緒にいると空気みたいな存在になってくるっていうし、子供でも出来たらお互いもう男女ではなくてパパとママになっちゃう。愛情も変化するだろうし、もしかしたら最悪無くなるかもしれない。そうなった時、趣味が同じだといい関係を続けていけるような気がするんです。男女を通り越した親友になれるような気がするから。だから…偽って趣味を合わせられていたのって…俺としては完全にナシ…です…。」



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