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全員集えば天下無敵の最強パーティ!!  作者: 引きこもりんりん
第一章 ポンコツパーティはじめました!
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第8話 悪魔な先輩と天使な後輩


 俺達がギルドに着くと、既に多くの冒険者達が集まっていた。


「皆さん! これから、緊急討伐クエストの説明をいたしますので、ご注目下さい!」


 ギルドの受付嬢がギルドの中心にあるテーブルの一つの上に立ち、大きな声で喋り始めた。

 ガヤガヤしていたギルドが急に静かになった。


「皆さんには、これから街の外れにある森に突如出来た巨大なオークの巣へ行ってもらいます! 彼らは非常に狡猾かつ危険で有名な集団です! 近隣の住民に被害が出る前に、皆さんには、退治に向かって貰いたいと思います! 危険度はB級です! なので、参加していただくだけで、報酬もでますし、活躍に応じて特別報酬も出したいと思います! 皆さん、奮ってご参加下さい!」


 こういう集団で臨むクエストは初めてだ。

 とりあえず、周りについて行って様子を見るか。


 なんてことを考えていると、アリサが不安そうな顔でこちらに話しかけてきた。


「私達、他の人達とは、違うルートで行かない? 私、血浴びちゃうとやばいし」

「そっか。だよなぁ……」


 どうやら、俺達は別行動するしかないらしい。


「エリさん、それでもいいですか?」

「私は、それでも構いませんよ。あなた達の戦い方も見てみたいですし。言わばこれは黒魔術士であるあなたが、私と釣り合うかどうかテストです」


 どうやら、まだあの話は続いているらしい。


 そんなことを、俺達が話していると、賢者さんが俺達のところへやってきた。


「よかったぁー。無事会えたんだね。ごめんなさい。私の紹介だったのに、用事出来て一緒に行けなくなっちゃって……」

「いえ、べ、別に大丈夫です……」


 相変わらず、賢者さんの前では俺はまともに話せなくなってしまう。


「お前、余計なお世話だよ。何しにきた? 私達はこれから大事な試験をするっていうのに!」


 意外なことに、年下の俺やアリサには敬語を使うのに、エリさんは賢者さんにはタメ口だった。


「先輩がまた何か問題起こしてないか見に来たんですよ! また、私が紹介してあげたパーティからクエストの途中で抜け出したりしたら、私の信用に関わりますからね!」

「相変わらず、お前は自分のことしか考えてないのな! ほら、もうお前どっか行けよ! しっしっ!」


 そう言って、エリさんは賢者さんに向かって手を払った。

 賢者さんをここまで邪険に扱う人間を、俺は初めて見たので驚きだった。


「いや、私も付いていきます。先輩を監視させて貰います!」

「はあ、お前、うざいなぁ。そんなんだから、彼氏の1人も出来ないんだよ。ていうか、お前、自分のパーティはどうしたんだよ! 職務放棄か?」


 エリさんは本当に機嫌が悪そうだった。

 でも、確かに自分のパーティと賢者が行動しないのは変だ。


「アルトとダンはまだ用事の途中なんです! 私は先に帰って来たんです! だから、職務放棄とか人聞きの悪いこと言わないで下さい!」


 アルトは賢者さんのパーティの勇者のことで、ダンはバトルマスターのことである。

 ちなみに賢者さんの名前はマイなのだが、彼女はあまりこの名前で呼ばれるのを好まないなので、周りから役職名で呼んでもらっている。


「はっはっは! ウケる! お前、邪魔だから帰されたんだよ! ざまあみろ!」

 


 後輩にパーティを斡旋してもらっておきながら、この態度。

 なかなか、普通の人間がとれる態度ではない。

 この人には羞恥心というものが存在しないのだろうか?

 というか、敬語の時とキャラ変わり過ぎだろ。

 2人の過去に何かあったのだろうか?


「ていうことは、賢者さん、今日は私達のパーティに入ってくれるの? よろしくね!」


 アリサが嬉しそうに言う。


「そういうことになるかしらね。ハヤトくん、私、あなた達のパーティに今日だけ入ってもいい?」

「は、はい、全然大丈夫です。あっ、でも俺達、他の人達とは違うルート行きますよ。アリサ、血を浴びるとやばいから」

「大丈夫よ! そっか、アリサちゃん血が苦手なんだっけ、なるべく血は流れないようにするね!」

「うん! ありがとう!」


 アリサと賢者さんが笑顔で会話する。

 ああ、この2人を見ていると、なごむなぁ。


 対して、恥知らずのエリ先輩はまだ悪態をついている。


「回復キャラは2人もいらないんですけど! 私がいれば十分なんですけど!」


 この人は体だけでなく、心まで子供なのだろうか?

 もう、置いていこうかな……この子。


「確かに回復キャラ2人はバランス悪くて格好悪いよねー」


 アリサが無邪気な笑顔で言う。

 自分のことを気遣ってくれた賢者さんにこの仕打ち。

 

 もうやだこのパーティ!

 俺、面倒見切れない!

 2人とも置いて行こうかな……。


 すると、賢者さんが笑顔を崩さず答える。


「大丈夫! 心配には及ばないよ。私、今回は攻撃に専念させてもらうから! それに先輩はすぐ回復出来なくなっちゃうから……」


 頭のおかしな2人にこの態度! 天使かな?

 それはさておき、何でも出来るんだなこの人。

 しかし、最後の言葉の意味が気になる。


 俺は森を探索し始めてすぐに、この意味を知るのだった。



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