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全員集えば天下無敵の最強パーティ!!  作者: 引きこもりんりん
第二章 異郷の地に行く……!
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第11話 夢と金

「えっ! そんな面白そうなこと、やってたの!?」


 目を覚ましたアリサに今までの経緯を説明したところ、そんなことを口にした。

 何を言っているんだろうか……。


 俺達は今、元の運動場に戻ってきている。

 いつまでもおもちゃ屋周辺にいるわけにはいかないので戻ってきたのだ。


「じゃあ、次は私の番だね?」


 やっぱり、そう来たか……。薄々予想はしていたので、そこまで驚かなかった。


「おい。流石に迷惑だろ……。レオナだって仕事なんだし。仕事しなきゃいけない立場だろうし、これ以上付き合わせるのは……」

「そっかー! そうだよね!」


 思いの外、素直なアリサ。

 いや、アリサは結構言うことは聞く奴だったな。

 こういう時は、エリやルナに比べて手がかからないので楽だ。

 

 だが、レオナもとんでもないことを言い出す。


「私は全然構いませんよ。むしろ、アリサさんと戦いというか、目的はその先というか……」

「目的?」


 全員の実力を知っておきたいとか、そんなことだろうか。

 まあ、そういうものなのかもしれない。

 実力試験というか、個別系の指導ならある程度の実力を知っておく必要もあるのだろう。

 それにしても、エリ、ルナの試験?は何の実力も測れないと思うが……。

 格ゲーと消しピンは冒険者に何の関係もない。

 本当に関係ねえな……。

 思い返してみると大分酷い試験(笑)だった。


「それで、どうやって試験するんだ?」


 流石に少しは冒険者らしい試験をして欲しい。

 俺の問いかけに対して、レオナはアリサの方を向いた。

 どうやら、今回も試験の内容は委ねるようだ。

 アリサの方を見ると、何かボーっとした顔をしている。

 試験の内容を考えているのだろうか? しかし、考え事をしているとしても、口が半開きのアホな顔すぎて一切分からない。


「ルールなしの何でもありの一対一の組み手でいいんじゃないか? どっちかが、気絶したら決着で」


 そう言ったのはエリだった。

 いつから聞いていたのだろうか?

 ルナが眠ってしまった後、レオナの使った魔法が本当に国家最上級レベルの魔法なのか確認するとかなんとか言って、ルナの体の至る所を触りまくっていたはずだが。


「それがいいよ! 私、それがいい!」


 アリサが「それだ!」という感じで、エリの方を指差す。

 アリサにとっては、分かりやすいルールで良かったのだろう。

 頭を一切使わない脳筋バトルならうってつけだ。


「レオナはそれでいいのか?」


 一応、レオナに確認をとる。


「私は全然構わないですよ!」


 やはり、レオナは特に意見は言わなかった。

 さっきの消しピンの前の感じを見る限り、コミュ障ってわけでもないだろうし。

 遠慮なのか何なのか分からないが、もやもやする。

 どうしてだろうか? 普段、自分の意見をズバズバ言う奴らに囲まれているからだろうか。


 俺がそんなことを考えていると、アリサがしっぽを振る犬のように近づいてきた。


「ねえ! 私、ちょっと走ってきていい? 準備運動っていうか? やるなら本気でやりたいからさっ!」

「俺に聞くんじゃなくて、レオナに聞けよ」


 レオナの方を見ると、にこりと微笑んだ。


「はい。私も組み手の前に少し体を動かしたいと思っていたので……ご一緒してもいいですか?」

「うん。全然、いいよー!」


 アリサがレオナの手をとる。


「よろしくね!」


 そう言うと、アリサはにっこり微笑んだ。

 手を握られたレオナはこくりと頷いた。


_______________________________



「それでどうだったんだ? その最上級魔法とやらは?」


 レオナとアリサが山の方へ行ってしまった後、俺とエリは運動場でしゃがみ込んでいた。

 俺はエリに気になっていたことを尋ねた。


「ああ、最上級魔法だ。……しかも、完璧にマスターしてやがる」

 エリはなんだか震えている。自分を遥かに上回る回復魔法の使い手(しかも、本職ではない)が現れて、悔しいのだろうか?


「何で、そんなその最上級魔法とやらにこだわるんだ?」


 さっきから、エリの執着ぶりは異常だ。

 今まで、レオナの試験にそれなりの執着を見せていたにも関わらず、今やそれをほっぽり出してその最上級魔法とやらの効果を確かめに行っていたのだから。


 すると、エリは一旦下を見た後、真剣な面持ちになって語りだした。


「お前には話さないといけないかもな……私が回復職の白魔術士である理由を」


 唐突な自分語りである。ネットに初めて書き込む中学生か何かだろうか?

 とはいえ、エリの真剣な表情。

 期待はしないが一応、聞いてやろう。

 俺はエリの顔を見つめ返した。


「それは簡単に言うと、国家最上級の魔法を修得したかったからなんだ……」


 エリは真剣な面持ちを崩さない。

 もしかして、本当に真剣な話なのだろうか……はっ!

 ここで俺は気づいた。

 エリの修得したい最上級魔法は回復魔法系統。

 その最上級魔法というくらいだ。どんな怪我、病気も治してしまうはず。

 エリにはそれを使わないと治せないくらいの怪我、病気をした知り合いが居るのかもしれない。

 その知り合いのためにか……!


「今まで、回復魔法を使う時、最高レベルしか使わなかったのもそれが理由だ。少しでも早く国家最上級レベルの魔法修得のコツを掴むためにな……」


 なるほど、家族だか友人だか分からないが重い症状の知り合いのためにあんな意味不明なことをしていたのか。

 そのことを責めていたことがなんだかとても申し訳ない。


「魔法に強い適正があるとはいえ、今の今までその魔法を修得することはできないでいた……」


 可哀想に。辛かっただろうな。

 救いたい人間を救えないのはとても辛いだろう。


「そもそも修得しようにも、使える奴は周りに一人も居なくてな……」


 そうか。だから、自分で修得しなきゃいけなかったんだな。

 どこかに使える人がいたら、その人に頼んで治してもらえるからな。

 んっ。ということは……!


「おめでとう! エリ! 良かったな! これでお前のその知り合いは治せるぞ!」


 今なら、さっきエリが震えていた理由が分かる。

 嬉しかったのだろう。やっと、重症を負った知り合いを治せることが……!

 レオナに頼んで、治してもらえばいいのだ。

 図々しいお願いかもしれないが、この際、俺も頭を下げてやろう。


 思わずエリに向かって叫んでしまったのだが、当のエリはポカンとしている。

 そうか。知り合いを治したいことを何で俺が知っているのか、と驚いているのか!


「当たり前だろ! お前の考えてることなんてお見通しだよっ! 仲間だろっ!」


 自分でも中々臭いセリフだと思ったが、エリの行いに感動して思わず、口にしてしまった。


「お前が何を言っているのか、さっぱり分からないんだが?」


 んっ……?

 エリはポカンとした表情のまま言う。


「私が国家レベルの最上級魔法を修得したいのは、一生遊んで暮らしたいからなんだけど……」

「はっ?」


 何を言っているんだろうか?


「さっきも言っただろ。国家レベルの最上級魔法を修得したあかつきには国からの褒章金やらで一生遊んで暮らせるんだよ」

「……」


 そう言えば、そんなことさっき言ってたな……。

 そして、こいつはそんな奴だったな。


「私が回復職に着いたのもそれが理由だ。国家レベルの最上級魔法は職業ごとに用意されてんだけどな。回復職の最上級魔法が一番修得しやすいって言われてるんだ。だから、私は少しでも早く修得するために回復職の白魔術士になったんだ」

「謝れ! 全国のヒーラーさんに謝れっ!!」


 何て奴だ。こいつ。

 碌でもないというか、発想がただのゴミである。

 真面目にヒーラーをやっている人、賢者さんみたいな人達申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「何だよ。ハヤト。ノリ悪いなぁー。もし、修得できてもお前に金を恵んでやんねえぞ」


 果たして、こんな不純な動機の奴に神聖なる回復魔法の最上級魔法を修得出来るのだろうか? うん。無理だな。こんなゴミみたいな理由で修得できるはずがない。


「決めたよ。ハヤト。レオナ……いや、レオナ先生に私はついていく。それで付きっきりで指導してもらうよ」

「……そうか」


 もう何も言うまい。

 愚かというか怠惰というか。変わり身も早い。

 自分に利があると分かった途端に媚びを売るスタンス。

 ここまで来ると、いっそ清いと思え……ないな。いや、それはないな。


 俺とエリが世界で最底辺レベルの会話をしていた所、レオナとアリサが戻ってきた。


「レオナすごいね! 私の速さについて来るなんて!」

「いえいえ。アリサさんも流石、毎日鍛えられているだけあります。こんなに持久力も速さも兼ね備えた人は初めて見ましたよ!」


 戻ってくるなり、お互いを褒め始めた。

 ほほえま〜。

 何と、微笑ましい会話だろうか。

 それに比べ、俺の隣の心のただれた愚かな白魔術士はっ!

 エリを睨む……って、居ねえ。


 見ると、エリはレオナの前で土下座していた。


「すみませんしたっ! 試験とか舐めた真似してさーせんしたーーーっ!」


 お前はどこの野球部だよ……。

 そのまま勢いで頭丸めそうで怖い。


「……??」


 レオナはというと、突然のエリの豹変ぶりに驚いている。

 何にも言えないようだ。

 まあ、そりゃそうか。さっきまで、試験だとかうんたらかんたら言ってた奴がいきなり土下座だからな。理由を知ってる俺でもビビる。


「試験は中止ってことですか?」


 レオナがエリの勢いに押されながらも、恐る恐る尋ねる。


「はい! もう全然、うちらみたいなゴミの試験なんて受ける必要なんてございやせんっ!」


 何かもう、色々と酷い。どこの人間だよ。

 「ございやせんっ!」ってなんだよ。


 すると、今度はアリサが素っ頓狂な声を上げた。


「ええっ! やだよ! 絶対、レオナ強いもん! 絶対、戦いたい! 私、久しぶりに強い人と戦えるってワクワクしてんのにっ!」


 お前はどこの野菜系戦闘民族だよ。今度から、カ〇ロットって呼ぶぞ。


「バカ野郎! ワガママ言うんじゃねえ! この方をどちらと心得るんだっ! レオナ・ヴァイオレットカードさんだぞ! なめてんじゃねーぞ!」


 負けじとエリも反論する……反論というかただの駄々だが。

 一体どの口が言うのか。今度、口の数を尋ねたい。


「じゃあ、レオナに尋ねようよっ! ねえ! レオナ、どっちがいい?」

「上等じゃねえか! レオナ先生、もちろんこんな無礼極まりない試験さっさと取りやめにしたいですよね?」


 二人に詰め寄られて、レオナは下を向く。

 スカートの裾を握りしめている。


「……私は…………」


 だが、彼女はきちんと口を開いた。


_______________________________



「じゃあ、やろうか!」

「いいですよ!」


 結局、レオナはアリサと組み手をすることを選んだ。


「分かんねぇ。分かんねぇよ。ハヤト」


 自分の思い通りにならなかったエリはまだブツブツ言っていた。


「いいじゃねか。まだ、日はいっぱいあるんだから……」


 一応、慰め?の言葉を口にしてみる。


「全然、良かねえよ! 日があるって何日だ!? 一、二ヶ月じゃねえか! そんなんで修得できるほど、国家レベルの最上級魔法を修得できると思ってんのか!?」


 なんて、自分勝手な奴なのだ。救いようがねえ。


「一秒も無駄に出来ねえんだよ! 修得できていて、しかもそれが私の教官だとっ!? そんなん、付き従うに決まってんだろぉぉっ!」


 この言葉を年下に舐められたくないから試験するとか言ってた5時間くらい前のエリに聞かせてやりたい。

 きっと羞恥で悶え死ぬだろう。

 そんなことを話していると、アリサがこちらにやってきた。


「ねえ! よーいドンって言ってくれない?」

「組み手の開始の合図しろってことか?」

「そう!」


 よーいドンって……他に言いようがあっただろうに。

 まあ、いいか。

 さっさと始めて、さっさと終わらせてもらおう。

 これ以上、エリに機嫌を損なわれても、面倒臭いだけだ。


 俺は二人が戦おうとしている運動場の隅にあった組み手用のミニ闘技場(と言っても、少し土が盛り上げられ石板の敷き詰められた円形の闘技場だが)に向かう。


 二人があらかじめ闘技場の上に引かれた直線の上に立ったのを確認する。


「はい。じゃあ、これから、組み手を始めます。はい、よーいドンっ!」


 俺は適当な掛け声を掛けた。

 その声と同時に二人は後ろに下がる。

 どうやら、距離をあけたようだ。

 

 魔法が使えるレオナはともかく、物理攻撃しかできないアリサが下がったのは何故だ。

 この場合、最初に距離を詰めて、魔法を使わせないようにしたほうがいいのではないか。





 アリサへのそんな疑問は一瞬で解消された。

―――影分身。かつて、クレイジーボアを討伐した森で見せた技をアリサは使用した。

 しかも、前は二人だったのが五人になっている。

 うちの脳筋バーサーカー、ついにここまで来たか。

 そのうち、数え切れないほどの分身が可能になるかもしれない。

 そしたら、アリサに家事を覚えさせよう。

 洗濯も掃除も一瞬で終わるはずだ。


 気づいたら俺の隣に来て、観戦していたエリがこちらに向かって言った。


「なあ、今度、アリサに家事、覚えさせようぜ。そしたら、洗濯も掃除も一瞬で終わるはずだ」


 どうやら、クズの思考回路というのは似通っているようだ。

 エリが俺の考えていたことをまんま提案してきた。


 そんな下らない提案は無視して、俺は戦いの方に集中する。

 五人に増えたアリサは闘技場の四隅と中央へ散った。

 レオナを囲い込む戦法か……。


 一方のレオナはというと、アリサに囲まれたにも関わらず、微動だにしていない。

 どう対処するつもりなんだ……?

 いくらレオナが魔法のエキスパートだとしても、一切の動作無しに魔法が使えるとは思えない。


 次の瞬間、中心にいたアリサが空中へ飛びあがる。

 そのまま、そのアリサはレオナの上空まで飛ぶ。

 これでレオナは前後左右上方の5方向から完全包囲網をしかれてしまった。


 一切に五人のアリサがレオナに飛びかかる。

 本当にどうするつもりなのだ?

 避けることは不可能だ。全方位をアリサに囲まれてしまっている。


 近づいてくるアリサ。


「……すぅ」


 レオナが一息。





 一人目、前から来たアリサ。振り出した拳を掴まれる。

 二人目、右から来たアリサ。一人目の拳を掴まれたアリサのフルスイングによりかっとばされる。

 三人目、上から来たアリサ。かっとばされたアリサが飛んできて空中で衝突。そのまま、落下。

 四人目、左から来たアリサ。スイングに使ったアリサが投げられ、来た方向を逆戻り。

 五人目、後ろから来たアリサ。後ろからスライディングキックをかますも、ジャンプで避けられ、マウンティングを取られた。

 

 アリサは完全に追い詰められてしまった。勝ち目はない。

 寝技に持ち込まれ、体をがんじがらめでロックされている。


「うーん。参った」


 アリサは白旗を上げた。


「……ふぅ」


 レオナは額の汗を拭う。

 30秒程度の戦いだったが、色々見れて面白かった。

 というか、冒険者としてあるべき姿を見ることができたような気がする。



―――レオナは一切、魔法を使わなかった。

 結構恐ろしい事実だ。

 うちのパーティの物理専門のアリサを上回るほどの体術。

 うちのパーティの魔法専門のエリを上回るレベルの魔法の修得力。


 その小さな体躯にどれだけの知識、能力を秘めているのだ。

 この歳で教官になるだけのことはある。


_______________________________



「わりいな。飯までご馳走になっちまって」

「いえ。食事の管理も教官のお仕事ですから」


 俺達はレオナから自室で食事をご馳走になっていた。

 外はもう月が出ていることから、夕飯だ。

 肉に魚に旬の野菜、なんでもござれのご馳走が勢揃い。

 最近はうちのパーティでは一食がデフォになっていたのだが……久しぶりにまともな飯を食った。

 それもなんと、レオナの手作りだ。

 しかも、更に食費全額負担で食事を作ってくれたのだ。


「ほふぇっふ。ふわひあふわひあふわひゃあほえっふ」

「飲み込んでから喋れよ」


 エリが食べ物を口に含みながら、喋っている。

 汚いなあ、と思い俺は注意した。

 俺に指摘されたエリは急いで飲み込んで言い直した。


「流石、レオナ先生ですっ! お料理までできるなんて私、感服ですっ! ハヤトの作る料理の3.5倍は美味しいです」


 こいつ、いつか必ず痛い目見せてやる……!


 とはいえ、レオナの作った料理が美味しいのもまた事実。

 悔しいが、俺の作った料理とは比べ物にならない。

 まあ、元引きこもりの料と比べるのもどうかと思うが。

 それにしても、美味しい。料理の種類も多様だし。

 異世界に来て、いや、転生前を含めても一番だろう。

 アリサとルナに至っては無言でガツガツ食べてるし。


 一体、どうしてこの少女は何でもできるのだろうか?

 俺は疑問が浮かんだが、食事への欲求でその疑問は次第にかきけされていった。


_______________________________



「……」


 食事が終わり、俺はボーっとしていた。

 エリとアリサは午後の疲れもあってか、大部屋でグースカ眠っている。

 ルナは大部屋にも自室にもいない。共同浴場にでも行ったのだろうか。よく考えると、ルナは午後もほとんど寝ていたわけで、この2人のように熟睡とはいかないだろう。


 レオナは仕事があると言って、一時教官室に戻った。

 俺は一人で何をやってるのかというと―――待っているのだ。

 レオナに話があるから待っていて欲しいと言われたのだ。

 一体、話とは何だろうか? もうこのパーティの教官辞めたいとかだろうか?

 それが一番有り得そうだ。

 そうだな。その時は笑顔で送り出してやろう。

 こんなパーティの教官を任されたのは結構な災難のはずだ。

 このパーティの一員である俺が言うのだから間違いない。



 コンコン。

 扉が叩かれた。レオナが戻ってきたのだろうか?

 俺は大部屋から廊下に繋がる扉の鍵を開いた。


 扉を開けると、そこには―――やはりレオナがいた。


「話ってなんだ?」


 俺の問いかけに対して、答えるどころかレオナは部屋にすら入ってこない。


「どうしたんだ? 入らないのか」


 ここで俺はレオナの―――真剣な面持ちに気づく。


 どうしたのだろうか?

 俺が疑問に思っていると、レオナはこちらに問いかける。


「他の皆さんはご就寝なさいましたか?」

「……ああ」


 正確には、ルナはどこかに行っていないのだが、まあこの際それはどうでもいいだろう。

 それよりも、レオナの表情が気になる。


「……」

「……」


 沈黙が続く。両者固まったまま動けないでいる。

 レオナは相変わらず怖い表情を崩さない。

 さっきまで、顔に若干残っていた幼さも感じられない。


 一体、どうしたというのだろうか……。

 俺は疑問を感じながら、手を握りしめた。




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