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全員集えば天下無敵の最強パーティ!!  作者: 引きこもりんりん
第一章 ポンコツパーティはじめました!
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第23話 犯人はお前だ!

「マジありがとうございます!」


 俺達はドリドドドドン教の祠でご飯をご馳走になっていた。


「ドリドドドドン教は困ってる人には手を差し伸べるのです」


 老人が笑顔で答える。

 最初は俺達に微妙な顔をしていたが、俺達が最近まともに飯を食ってないことを言うとこうして笑顔で飯を振る舞ってくれた。

 案外、ドリドドドドン教はちゃんとした宗教なのかもしれない。

 俺は久し振りのまともな飯に感謝した。


 全員、我も忘れて夢中になって食べている。

 エリが叫ぶ。


「おい! ルナ! お前さっきから、私の領地に入ってんだよ!」

「え?」

「ほら、こっかからここだよ!」


 エリが大皿をフォークでなぞりながら言う。


「お前! 代わりにその肉よこせ!」


 エリが難癖つけて、ルナが手に持っていた肉を奪う。

 男子小学生みたいなことを言う奴だ……。


「ああ! 返してよ! 僕の肉!」


 ルナがエリに詰め寄る。

「お前は昼も食べたんだろ! 食い意地張りすぎだ!」


 エリはその肉を一口で食べてしまった。

 食い意地張ってるのはエリである……。


 すると、ルナが泣き出した。


「はやど~! えりがわだじのにぐどっだ~!」


 ここは幼稚園か……?


「アリサを見習え、静かに食ってるぞ」


 俺が無言で飯を食らい続けているアリサを指さす。

 どうやら、アリサは変なスイッチが入ったようでさっきから一心不乱に食べ続けている。


 その時だった。

 アリサがエリの小皿から卵焼きを取り、食べたのだ。


「おい! 何してんだ! アリサ!」


 エリが叫ぶ。


「え……。食べないでずっと皿に置いてるし、いらないじゃないの?」

「ばか! とっといたんだよ! 私は一番好きなものは最後に食べるんだよ!」

「ご、ごめん。代わりに私の皿から好きなの取っていいよ」


 アリサが自分の小皿を差し出す。

 しかし、エリは不満げだ。


「私の卵焼きを食べた罪はそんなんじゃ償え……いや、そのでかい肉で許してやろう」


 エリがアリサの小皿にあった大きい肉を指さす。


「こ、これだけは無理!」


 アリサが皿を引っ込める。


「おい! ずりいぞ! どれでも好きなの取って良いって言っただろ!」

「言ってない!」

「言った!」

「言ってない!」


 あさましすぎだろ……。こいつら。

 周りにいるドリドドドドン教の信者達が憐みの目を向けている。


「……お前ら、俺の肉やるから大人しくしてくれ」


 俺がそう言って、二人の前に肉を差し出すとルナがそれを取った。


「元々は僕の肉なんだぞ!」

「おい! ルナ、返せ!」


 エリがルナから肉を奪おうとする。

 すると、肉はルナの手から落ちて地面に転がった。


「「「あっ!」」」


 三人が同時に声をあげる。 

 

 そして、全員でその地面に落ちた肉めがけて突撃した。


「僕のだ!」

「私のだよ!」

「私のだ!」


 三人が地面で肉を取り合う。


「おい! お前ら、地面に落ちたものなんて食うな! きたねえぞ!」


 俺は思わずそんな注意をしてしまった。

 他にも、もっと突っ込むべきところはあったのだが……。


「バカ! ハヤト! 三秒ルールを知らねえのか!」

「そうだよ! そんなことも知らないなんて、私、恥かしいよ!」

「ハヤトって、前から思ってたけど常識ないよね!」


 三人が肉を取り合いながらそんなことを言う。


 もう、いいや。

 こいつらの頭はきっと俺には救えない。

 俺がうなだれると周りの信者達が祈るポーズをして言った。


「おお! 神よ! この憐れなる同胞達に救いを!」


 俺は思った。

 多分、こいつら三人は神にも救えないだろうと……。


_______________________________



「おい! お前ら! 話くらいは真面目に聞くぞ!」

「分かってるよ! 僕はドリドドドドン教の信者だよ!」

「話くらい聞くのなんてガキでも出来るわ!」

「私達を見くびってもらうと困るよ!」


 祠の奥に案内されている途中は俺達は小さな声でそんな話をしていた。

 仲間達のそんな頼もしいセリフは一切信用出来なかったが、俺もいるので大丈夫だと思うことにした。

 

 食事の後は教組からありがたい話があるらしい。

 正直、本命の予定である食事は済んだので早くずらかりたかった。

 が、今後もご飯をお世話になるためにはここで少しでもドリドドドドン教への信仰心を見せておく必要があったのだ。


 そうこうしているうちに、祠の最奥に着いたようだ。

 

 見渡すと奥に向かって長椅子が並んでおり、一番奥には祭壇のようなものがあった。

 

「一番前に座るぞ」


 少しでも、信仰心を見せるために俺達は一番前に座った。


「ようこそ! 皆さん、今日はよくお越しくださいました!」 


 5分くらいして、全体的に白色で目と口の部分だけ真っ黒な仮面を被った教組が祭壇の前に現れた。


 よしっ! 頑張って聞くぞ!

 俺は柄にもなく意気こんだ。


_______________________________



 結果からいうと、俺達は仲良く全員で3分も経たないうちに爆睡した。


 疲れていたし、満腹だったので寝てしまったのだ。


「おい! この背教者どもが! 起きろ!」


 そんな怒声で目を覚ますと、周りを信者達に囲まれていた。


「よりにもよって、教組様の話で寝るとは! 処刑だ! 処刑!」


 何やら、物騒な発言が聞こえた。

 やはり、やばい宗教だったようだ。

「あ、あの、ごめんなさい!」


 とりあえず、俺は謝る。


「謝ってすむ問題じゃないんだよ」


 仮面の教組が俺達の前に現れた。


「許してください! ごめんなさい! ほら! お前らも謝れ!」

 

 隣見ると、三人はまだ寝ていた。


「おい、起きろ!」


 とりあえず、隣に居たエリの肩を必死にゆする。


「……う~ん」


 エリが目を覚ます。

 どうやら、周りを見て今の状況を理解したようだ。 

 顔が真っ青になる。


「起きろ! ルナ! 大変だぞ!」


 隣を見たエリがルナを起こそうとする。


「ふわあ~」


 ルナが目を覚ました。

 周囲を見渡して、顔を真っ青にする。


「どうしてアリサ起こしてくれなかったんだよ! 頼んだじゃないか!」


 やっぱりにわか信者かよ……。

 普通に寝るつもりだったようだ。


「起きて! アリサ!」


 ルナがアリサの肩を揺らした瞬間だった。


 仮面の教組が叫んだ。


「おい、お前ら! いつまで下らない茶番を見せる気だ!」


 その怒声に流石のアリサも目を覚ました。


「……何? どうしたの?」


 アリサの質問に更に教組が声を張り上げる。


「どうしたのじゃねーよ!! この俺様のありがたい話で寝やがって! ぶっ殺してやる!」


 そう言うと、教組はアリサの首根っこを掴んだ。


「あなた、何言ってるの? そんなことしたら、ここにいる皆に人殺しの犯人だってばれちゃうよ!」


 アリサが教組の手を払いのけて、そんなことを言う。


「何言ってんだ? お前。ここにいる信者達は皆、処刑を望んでんだよ!」

「そうだ! そうだ!」

「教組様のおっしゃる通りだ!」

「早く死ねーー!」

「しょ・け・い! しょ・け・い!」

「「「しょ・け・い! しょ・けい・い!」」」


 処刑コールが始まった。


 俺達はじりじりと追い詰められていく。

 もう、駄目だ……。

 




「犯人はお前だあ!!」


 アリサが突然、教組を指さし叫んだ。


「「「「え?」」」」


 信者、教組、俺達―――この場にいる全ての人が理解出来ず思わず声をあげた。


「あ! そうじゃなかった!」


 アリサが慌てる。

 周りは俺達も含め、ポカンとしている。



「お前は魔物だあ!」

「「「「「は?」」」」」


「ふふっ! 私の天才的推理を披露してあげるよ!」


 そう言うと、アリサが語り始めた。


「まず始めにあなたが変な仮面を被っていること! 普通の人はそんな恥かしい仮面をつけたりしない!」


 やめてやれよ! 本人は格好良いと思ってるかもしれないんだから!

 教組の方を見ると、仮面を手で抑え、下を向いている。


「二つ目に私達にご飯まで振る舞ってくれた人達が、いきなり処刑なんて言い始めるわけがない! よって、仮面をつけて正体を隠しているあなたに操られてるんだ!」

 

 うん。多分、操られてはないと思うぞ。

 単純にやばい宗教だったからだと思うぞ。


「以上のことから、あなたは魔物だあ!」


 終わりかよ! 謎理論すぎるだろ!

 俺達がアリサの推理についていけず静まり返っていると、エリが口を開いた。


「いや、アリサ。お前、モンスターが半径1キロメートル以内にいたら臭いで分かるとか言ってなかったか?」


 エリの的確な突っ込みに、アリサが一瞬、間を置いて教組に頭を下げた。


「そう言えば、そうだった。ごめんなさい! 疑ったり「ふはははははは! よくぞ、我が正体を見破った! 我はオークの王!」


 謝るアリサに被って、教祖は仮面を取り、高らかに宣言した。

 仮面を取ると顔は緑色で、とても人間とは思えなかった。


「え?」

「え?」


 俺達とオークの王さんはどちらも驚いた顔で見合わせた。 


 どうやら、敵もそこまで頭が良くなかったようだ……。

 

 


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