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全員集えば天下無敵の最強パーティ!!  作者: 引きこもりんりん
第一章 ポンコツパーティはじめました!
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第18話 夏だ! 海だ! 水着だ!

「……あちーな」


 俺は異世界に来て、初めての夏を迎えていた。

 どうやら、この世界にも季節という概念は存在するらしい。

 俺がそんなことを実感したのは、エリと1週間ぶりに外に出たら恐ろしく暑かったからだ。

 

 部屋の中は快適だった.

 もちろん、クーラーなんてものは存在しない。

 だが、魔法でいくらでも温度調節が可能なのである。

 一定の魔力を注入すると動く冷房的な箱があり、それによって室内の温度を低くしたり、高くしたり出来るのだ。

 どこの世界にも温度調節器を思いつく奴はいるらしい。


 どうして俺達がそんな快適な部屋から出たのかというと、腹の調子も治り、久しぶりに外に出ないと、また引きこもりになる気がしたからだ。

 だが、それも間違いだったかもしれない。

 異常な外の暑さで今にも倒れそうだった……。


「なあ、ちょっとそこら辺で休憩しないか?」


 エリが言った。

 今日のエリの格好は白色のワンピースに麦わら帽子という、いかにも夏な感じだった。

 俺がぼーっと、エリの格好に注意を向けていると


「おい、聞いてんのか?」


 と言われ、小突かれた。


「あ、ああ。そうだな。木陰に座るか」


 と返事をして、俺は木陰に向かった。


 木陰に腰掛けると、エリが突然大きな声を出した。


「アイス買ってきてもいいか!? アイス!」


 とてもじゃないが、成人した女性には見えない。

 が、まあ、確かにこの暑さなら、アイスの一つも食べたくなる。


「いいよ。俺の分も買ってきてくれ」


 そう言って、俺はエリに財布を渡した。

 

 エリは嬉しそうにスキップしながらアイスの出店に向かった。

 まじで小学生にしか見えない。

 

 少しして、エリが嬉しそうにアイスを両手に持って、戻ってきた。


「何か良いことあったのか?」

「見て! ほらアイス!」


 アイスを見ると、コーンの上に雪だるまのように二段にアイスが積み重なっている。


「おじさんがおまけしてくれた!」


 満面の笑みでそんなことを言うエリを見て、俺は思った。

 多分、子供がおつかいに来たと思われたんだろうなあ……。


 俺のそんなことを思ってるのもつゆしらず、エリは片方のアイスを俺に手渡すと、もう片方をペロペロとなめ始めた。


「つーか、そんなに食べたらまた腹壊すぞ」


 俺のそんな忠告にエリはいう。


「……大丈夫だ。あの地獄を乗り越えた私なら当分、お腹を壊す気はしない」


 確かに地獄だった……。

 あの後、何を食っても土の味しかしなかった。

 が、治った後は逆に何でもおいしく感じるようになった。

 俺は長年苦手だったトマトも、おいしく食べられるようになっていた。

 ルナに感謝すべきなのだろうか……いや、必要無いな。


 ちなみにあの後、鍋を完食した俺達はぶっ倒れ、ショックでルナは3日間自室にこもってしまった。

 その後、アリサの励ましもあってか、異世界の食料について詳しく知らなかったせいと納得したようだ。

 今ではアリサと毎日、楽しそうに修行に出かけている。

 あいつには、いつか料理を教えないと……人死にが出る前に!

 

 基本的にこの集団生活で食事を作っているのは俺だ。

 アリサは包丁が使えないし、エリはめんどくさがりだ。

 だから、俺がやるしかないのだ。

 幸い、俺は転生前引きこもりで暇だったので、料理は一通り出来るのだ。

 ルナと同じように転生した俺が出来ているので、少なくとも食材のせいではない。


 帰ったら、ルナに料理の仕方でも教えてやるかな。

 俺はアイスを食べながら、そんなことを考えていた。


_______________________________



「ねえ、明日、海行こうよ! 海!」


 家に帰ると、アリサがそんな言葉で俺達を迎えた。


「え? うみ?」


 俺とエリは突然の提案に上手く返事を返せなかった。


「とりあえず、これを見てくれ!」


 そんな俺達にルナが一枚の紙を差し出し、言った。


 紙はビーチの治安維持と監視の依頼が書いてあるクエスト用紙だった。

 つまり、プールの監視員のバイトみたいなものか……。


「つまり、仕事として海に行こうってことか」

「そうだよ! 二人とも治ったから久しぶりにみんなでクエスト行こうって話しになったんだ! だけど、久しぶりだからあんまり激しいクエストは良くないってことで、選んで来たんだけど……ダメかな?」


 アリサの問いに俺は答える。


「まあ、いいんじゃねえか。エリはどうだ?」

「私も別に良いよ」 


「「やったーーーー!!」


 俺とエリの答えにアリサとルナが同時に叫んだ。


「じゃあ、街に買い出しに行こうよ!」

「何買う!?」


 アリサとルナが無邪気にはしゃぐ。

 どうやら、ただ海に行きたかっただけのようだ。


 こうして、俺達は海へ行くことになったのだった。


_______________________________



「あいつら、おせーな」


 俺達は海について、着替えてから合流という流れになった。

 が、俺は先に着替え終わって待っているのだが、なかなか出てこない。

 

 俺はぼーっと海を眺めて待っている。

 

 ロックビーチと名のつくこの海辺はその名の通り、砂浜の外側が岩に囲まれている。

 夏になると、毎年多くの観光客が集まるらしく、既に多くの人で賑わっている。


 海に行ける上、報酬金のもらえるこのクエストは毎年人気らしく応募率も高い。

 俺達がこのクエストをいきなりとれたのは、この前の偽りの活躍のおかげだろう。


 そう考えると、胸が痛い……。

 

「遅くなってごめんね!」


 俺が若干ネガティブになりかけたところで、女性陣が出てきた。

 振り向くとそこには……うおっ! なんだこれ!


 アリサは黒色の三角ビキニで普段と変わらないヘソ出しだが、胸の肌が普段より露出しているせいか、思わずそちらに目がいってしまう。

 こいつ、着痩せするタイプだったんだな……。

 細いくびれのせいでプロポーションがすごいことになっている。


 隣のルナを見ると、これまたすごいプロポーションだった。

 紐のパンツだが今にもほどけそうだ。

 普段から大きいと思っていた胸が白色のビキニによって強調され、大変なことになっている。

 しかし、白か……うん、持って帰りたい。


 ん?


「エリはどうしたんだ?」


 俺の疑問にアリサとルナが少し困った顔をして、後ろを指を指す。

 木の陰にエリらしきものが見える。


「僕達が無理矢理着替えさせたら、中々出てきてくれなくてね……」


 それで、時間がかかったのか……。


 俺はエリに気づかれないようにこっそりと木に近づいた。

 エリの居る方へ一気に回り込んだ。





 そこには、腕で膝を抱えて必死に自分の水着姿を顔を真っ赤にして隠そうとするスクール水着のエリが居た。

 スク水か……。

 異世界にもスク水はあるのか。

 これを選んだ奴を俺は褒め……説教しなければ……。

 けしからん、けしからん。


 俺に見つかったエリは更に顔を紅潮させた。

 少しして、凄い勢いで俺に詰め寄ってきた。


「ハヤトォ! 聞いてくれ! あいつら、私を無理矢理脱がせた挙句、こんなの着せやがった! 私、20だぞ。こんなのあんまりだろぉ!」


 確かに成人した女性がこんなもろスク水ですと言った感じのスク水を着るのは、中々の羞恥だろう。

 

 俺はなんか色々哀れになってきたので、羽織っていた黒のローブを渡した。


「着ろ」

「やめろぉ! 私をそんな哀れな目で見るなぁ!」


 本当は俺の理性が壊れそうで、やばかったのだ……。

 腐ってもサキュバスとハーフなだけはある……。

 


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