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全員集えば天下無敵の最強パーティ!!  作者: 引きこもりんりん
第一章 ポンコツパーティはじめました!
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第12話 明日から本気出す!


「やだ! やだ! やっぱし、外出たくない!」


 エリが外出寸前になって、駄々をこね始めた。


「……ったく。アリサへの罪悪感はねーのか?」


 アリサの中で俺達は毎日クエストに行っていることになっている。

 彼女は食事と睡眠のとき以外トレーニングに行っているので、俺達の現状を知らない。

 なので今日も朝飯のとき、


「毎日、クエスト、私抜きで行ってもらってごめんね……。へへっ。私、絶対2人に追いつくから! じゃあ、行ってきます!」


という、俺達2人を罪悪感で殺してしまう悪魔の呪文を残して行ったのだった……。



「やめろ……。純真無垢なあいつの名を出すな……。反則だぞ。分かったよ。出るよ」


 こうして、俺達は1週間振りに太陽を浴びたのだが……。


「目がぁーー! 目がぁーー! 日光がやばいいい!」

「大丈夫か? エリ! 俺もやばい! どうやら、外の世界に出るのは俺達にはまだ早かったらしい! 明日から頑張ろう!」


 早々にリタイアした……。


 翌日は今にも雨が降りそうな曇り空だった。


「こんなに天気が悪いんだ。今日は中止だな」


 エリが嬉しそうに言う。


「いや、今日こそ出るぞ! 太陽も出てないし、1週間の引きこもり生活で闇属性と化した俺達には、最高の天気だ!」

「何でだよお! 雨降りそうじゃん! 濡れたらやじゃん!」

「……アリサは雨の日もトレーニングしてるぞ」

「……分かったよ」


 こうして、エリが渋々承諾し、俺達は実に八日振りに外に出たのだった。


_______________________________



「というわけで、久し振りに家から近いギルドに来てみたわけだが、すごい騒ぎだな。お祭りか何かか?」


 ギルドには、すごい人だかりが出来ていた。


「ぎゃーぎゃーやかましい連中だ。私の正拳突きで黙らしてやる」

「……エリ。それはゲームの中の技だぞ……。今の駄目な世界の方のお前には使えないぞ……」

 重症だ。こいつ。早く何とかしないと。


「わ、わ、分かってるよ! そんなゲームでいっぱい使ってるし、現実でも使えるだろうなんて思ってねーよ!!」


 こいつ、そんなこと思ってたのか。

 今日は家から出して良かった……。

 もはや、ただのゲーム脳だ。


 なんて俺が呆れていると、人だかりの中から1人の男が近づいて来た。

 賢者さんのパーティの勇者のアルトだった。


「探したよ。ハヤト。最近ギルドに顔を見せてなかったみたいだけど、どうしてたんだい?」


 まさか、シロクロ魔術士コンビで仲良くゲームして1週間引きこもっていた、とは言えない。


「……えっ、えっと。食中毒が起きちゃって……その……」


 エリもうんうんと頷く。


「それは大変だったね。大丈夫?」

「あっ、はい……。1週間ほど家に引きこもって治しました」


 更に嘘を重ねてしまった。


「最近、頑張ってるらしいじゃないか。君のパーティのバーサーカーの彼女、うちのダンが山でよく見るって言ってたよ。すごい頑張ってるってさ……ってあれ? さっき食中毒って……」


 やばい! どうしよう!

 すると、隣りに居たエリが機転を利かして俺の代わりに答えた。


「えーっと、えっと。それはねぇ……。私とハヤトで頑張ってるアリサのために料理作って味見したんだけど、それにやばいものが、入ってたみたいでぇ……。それを先に捨てたから彼女は大丈夫だったの!」


 なるほど! これならこの話がアリサに伝わっても、俺達は食中毒だけど仲間を心配させないために健康と偽り引きこもっていたから仕方ないといった隙のない嘘だ。


 ただのゲーム脳とか、思って悪かったよ。

 お前は今日のMVPだ!


 俺がエリにこっそりウインクすると、彼女もウインクを返して来た。


「そうか、君達仲間想いなんだね……。さすがエロ魔術士コンビだ! 賢者から聞いたよ! 君の格好いい呼び方! 君達のオークの王戦での活躍、聞かせてもらった! 君達は最高に仲間想いのエロ魔術士コンビらしいね!」


 前言撤回。

 こいつの蒔いた火種だ。後で締めよう。

 エリを見ると、顔が真っ赤になっている。

 まさか、自分にその呼び名が返ってくるとは思わなかったのだろう。

 ははっ! ざまあみろ! 人に不名誉な呼称をつけるからこうなるんだよ!



 というか、賢者さんのパーティはどうなっているんだ。

 3人中2人いや、おそらく3人ともエロという概念を知らないのか……。

 3人中2人が大嘘つきのクズのうちのパーティとは、人間の格に差があり過ぎる。

 まあ、その年でエロという言葉を知らないのも、気持ち悪いが……。


 俺がそんなことを考えていると、アルトが言った。


「君達、勇者を探しているらしいね」

「あっ、はい。そうですけど……」


 そうか。

 募集の貼り紙はギルドに貼られているから、みんな見れるのか。


「僕に紹介させてくれないかな? この前のオークの王戦で賢者を助けてくれたことのお礼がしたいんだ」

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」

「君が、お礼を言う必要はない。助けてもらったのは、僕達なのだから。賢者のこと本当にありがとう。これくらい当然のことだよ」


 なんていい奴なのだろう。

 パーティに入ってない勇者を探すなんて簡単なことではない。

 俺は思わずアルトの優しさにジンときてしまった。


「じゃあ、紹介するからこっちに来てくれ」


 そういうと、アルトは人だかりの中心へ向かって歩き出した。


「彼女は、ハヤトと同じく遠いところから来た冒険者みたいでね。迷っていたのをギルドに僕が案内したんだ。職業判定もまだらしくて、今さっきギルドの人に判定してもらったんだ。そしたら、なんとびっくり勇者の適正があったんだ! ……って、勇者の僕が言ったら、自画自賛だね」


 なるほど、勇者の適正が出るとお祭り騒ぎになるらしい。

 しかし、女勇者か……。それはそれでありだな。

 痛っ! 後ろから、エリに蹴られた。


「全部、お見通しだよ。このエロ魔術士」


 後ろから囁かれた。

 自分が言われて嫌な称号で、人を呼ぶな……。


 人混みをかき分けて、進んでいると更に勇者が話を続ける。


「それで彼女に、君達のパーティを紹介したら、ぜひ入りたいって言ってくれてね。ほらあのテーブルで他のパーティから勧誘を受けてる彼女だよ。 大丈夫! 既に僕が話をつけてるから他のパーティには入らないからね」


 アルトの手際の良さに感心したのも束の間、俺は大変なことに気づいた。

 アルトが紹介したということは、俺とエリは仲間想いで強い黒魔術士と白魔術士ということになっているはずだ。

 おそらく、先方は俺達のことを大分誤解している可能性がある。

 入ってから、「やっぱ、チャンジで」と言われてしまうかもしれない。

 まあ、とりあえず入ってもらえるに越したことはない。

 とりあえず、挨拶でもするか。


 俺はそんなことを考え、アルトの紹介してくれたテーブルの方を見た。



 そこには、異様にデカイ剣、肩まである黒い髪、絶品のプロポーションをし、そして忘れたくても忘れられない可愛い顔をした人物、すなわち俺の転生前の日本での知り合いである、本城(ほんじょう)ルナがいたのだった。



 そして俺は言う


「やっぱ、チャンジで」




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