止まりだした世界01
初投稿です。
よろしくお願いいたします。
チッチッチッチ……。
部屋の中には空しく時計の針の音だけが流れる。
「あー、あー、10月27日、天気晴れ、本日もいつもと変わらず部屋の中で寝そべっている…少しお腹が減ったなぁ…」
俺はボイスレコーダーに独り言を呟く。
これは決して寂しい行動では無く、崇高な俺の趣味だ。
俺は現在高校二年生の17歳、名を時詠 零時と言う。
自分では自覚は無かったが、高校一年の時は結構モテていたらしい。
しかし、今では見る影もない…。
髪は無造作に伸び、今着ている服もいつから着ているのかすら覚えてない始末。
そんな状態で俺はずっと部屋の中でだらけている。
思えばここ20日間位部屋から出た覚えが無い…。
そう…俺は典型的なひきこもりである。
部屋の中ですることと言えば、趣味の『ボイスレコーダー』に自分の声を入れて記録を付ける事、部屋から見える変わらない景色を眺める事位なものである。
「今日何曜日だったかな…」
俺は大の字で寝そべりながら思考する。
「27日って事は…木曜日か…今頃みんなは学校で授業受けてるんだろうな」
自分の現状に苦笑いをしながら寝がえりを打つ。
寝がえりを打った手の先にはテレビのリモコンがあり、意図せずスイッチが入った。
『昨夜未明、○○県××市の公園に直径200センチ程の隕石が落下しました。地元の天体観測者の話によりますと、この大きさで大気圏で燃え尽きずに地上に落ちてくることは異例との事です。引き続き関係者各位、隕石の調査を行っていくとの見込みです』
××市って…家の近所だな…どおりで今日は朝から外が騒がしかったのか…。
俺はテレビの情報を確かめるため、珍しく身体を起こし、窓からニュースで言っていた公園を見てみた。
そこに見えた光景は、公園の周りがブルーシートで覆われ、誰も中に入れなくなっている状態であった。
その更に周りに、ニュースを見た人たちが、野次馬の如くギャラリーとなって公園の周りを囲んでいる。
「おーおー、大の大人がたかが石ころ1つに昼間っから大層なことで…」
その光景にまた苦笑い。
俺から言わせれば、宇宙から来た隕石と言えど所詮はただの石ころだ。
一体大人達はそんな物の何に引かれて研究なんかするのだろう…。
考えても俺には到底理解できない。
俺はテレビを消すと、また布団の上に横になった。
そして、おもむろにボイスレコーダーに手を掛けると、先ほど録音した音声を流した。
『あー、あー、10月27日、天気晴れ、本日もいつもと変わらず部屋の中で寝そべっている…少しお腹が減ったなぁ…』
「……今日も何もしなかったな…」
俺も感情の有る人間である…このままでいけないことは分かってはいる。
「あの日から俺…変わったのかなぁ…」
俺は昔の記憶を薄らと思いだしながら目を瞑る…